21/07/02:2022年の世界遺産候補地 - ART+LOGIC=TRAVEL [旅を考えるweb]

世界遺産NEWS 21/07/02:2022年の世界遺産候補地

2022年の夏にロシアのカザンで開催される第45回世界遺産委員会で世界遺産リストへの登録を目指す世界遺産候補地のリストが公表されました。

現状、世界遺産候補地は37件で、文化遺産23件、自然遺産5件、複合遺産3件、重大な変更6件となっています。

 

今回はこのリストを紹介します。

 

※2023年7月28日追記

 第45回世界遺産委員会で審議が予定されている2年分の候補地のリストと勧告結果を記した新記事を上げていますので、こちらを参照してください。

世界遺産NEWS 23/07/24:2023年の世界遺産候補地と勧告結果

 

※2022年4月22日追記

 2022年6月19~30日にロシアのカザンで開催が予定されていた第45回世界遺産委員会は延期が決定しました。詳細は以下の記事をご覧ください。

世界遺産NEWS 22/04/22:ボイコット声明を受け第45回世界遺産委員会の延期が決定

 

※2023年1月26日追記

 延期されていた第45回世界遺産委員会ですが、2023年9月10~25日にサウジアラビアのリヤドで開催されることが決まりました。

 また、その前に以下のように臨時会合が開催されています。

世界遺産NEWS 23/01/26:世界遺産委員会臨時会合でオデーサなど3件を世界遺産リストに緊急登録

 

* * *

カンボジアの世界遺産候補地「コー・ケー:古代リンガプラあるいはチョック・ガルギャーの考古遺跡」の階段ピラミッド=プラサット・プラン
カンボジアの世界遺産候補地「コー・ケー:古代リンガプラあるいはチョック・ガルギャーの考古遺跡」の階段ピラミッド=プラサット・プラン

簡単にこのリストの概要を解説しておきましょう。

毎年書いているので不要でしたらパスしてください。

 

まだ2021年の世界遺産委員会もはじまっていないのに、なぜ2022年の世界遺産候補地のリストが公表されているのでしょうか?

 

世界遺産リストに物件を登録するためには、登録を目指す年の前年2月1日までにUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)の世界遺産センターに登録推薦書を送らなければなりません。

2022年の登録を目指す場合、2021年2月1日が〆切で、本リストはその時点で立候補の表明があった物件ということになります。

 

ただし、このリストにある物件が審議物件のすべてというわけではありません。

前年の世界遺産委員会に推薦されていてスライドされた物件や、以前の世界遺産委員会で「情報照会」の決議を受けた物件(3年以内に情報を提出した場合は再審査が可能)、緊急的登録推薦(明確に顕著な普遍的価値を持ち、危機的状況にある物件の例外的な緊急推薦)の物件はこのリストに含まれていません。

また、毎年書類の不備等から審議に及ばない物件や、推薦を取り下げる物件も相当数出てきます。

 

第45回世界遺産委員会までの日程は以下のようになっています。

世界遺産委員会の諮問機関であるICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)は文化遺産、IUCN(国際自然保護連合)は自然遺産、複合遺産は両組織が調査・評価を行います。

 

○2021年

  • 2月1日:登録推薦書の提出期限
  • 夏~秋:ICOMOS、IUCNが現地調査を含む専門調査を実施

○2022年

  • 4~5月:ICOMOS、IUCNが評価報告書を世界遺産センターに提出
  • 6~7月:評価報告書を参考に第45回世界遺産委員会で登録可否を決定

 

* * *

フランスの世界遺産候補地「プレー山の火山群と森林群及びマルティニーク島北部の山地」のプレー山
フランスの世界遺産候補地「プレー山の火山群と森林群及びマルティニーク島北部の山地」のプレー山

それでは2022年の世界遺産候補地37件のリストです。

内容は、文化遺産23件、自然遺産5件、複合遺産3件、重大な変更6件となっています。

 

順番は文化遺産→自然遺産→複合遺産→重大な変更で、それぞれヨーロッパ→アジア→オセアニア→北アメリカ→南アメリカ→アフリカ、さらにトランスナショナル・サイト/トランスバウンダリー・サイト(複数国に資産を持つ推薦物件)→国別五十音順です。

 

日本語名は私が適当に訳したものです。

勘違い等あるかもしれませんがご容赦ください。

正式な推薦名称は英語の表記になります。

名称や登録基準は今後変わる可能性があります。

 

 

★2022年に世界遺産登録を目指す物件一覧表

 

<文化遺産:23件>

 

■チヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観

The Cultural Landscape of Civita di Bagnoregio

イタリア、文化遺産(iii)(v)

 

■メノルカ島のタライオティック文化-サイロプ式の島内遍歴

Talayotic Menorca - A cyclopean island odyssey

スペイン、文化遺産(iii)(iv)

 

■ジャテツとザーツ・ホップの景観

Žatec and the Landscape of Saaz Hops

チェコ、文化遺産(iii)(iv)(v)

 

■ヴァイキング時代の環状要塞群

Viking-Age Ring Fortresses

デンマーク、文化遺産(iii)(iv)

 

■エアフルトの中世ユダヤの遺産

Jewish-Medieval Heritage of Erfurt

ドイツ、文化遺産(iii)(iv)

 

■ゴルディオン

Gordion

トルコ、文化遺産(iii)(iv)(vi)

 

■カルースト・グルベンキアン財団本部と庭園

The Calouste Gulbenkian Foundation Head Office and Garden

ポルトガル、文化遺産(i)(ii)(iv)(vi)

 

■クールラントのクルディガ/ゴールディンゲン

Kuldīga / Goldingen in Courland

ラトビア、文化遺産(iii)

 

■モダニストの町カウナス:1919~39年のオプティミズム建築

Modernist Kaunas: Architecture of Optimism, 1919-1939

リトアニア、文化遺産(ii)(iv)

 

■ゴロホヴェツ歴史地区

Historic center of Gorokhovets

ロシア、文化遺産(ii)(iv)

 

■シルクロード:ザラフシャン=カラクム回廊

Silk Roads: Zarafshan-Karakum Corridor

ウズベキスタン/タジキスタン/トルクメニスタン共通、文化遺産(ii)(iii)(iv)(v)(vi)

 

■ペルシアのキャラバンサライ

The Persian Caravanserai

イラン、文化遺産(ii)(iii)(iv)

※イランは複数の物件を推薦中で「ペルシアのキャラバンサライ」を優先する旨を表明

 

■サンティニケタン

Santiniketan

インド、文化遺産(ii)(vi)

※インドは複数の物件を推薦中で「サンティニケタン」を優先する旨を表明

 

■ホイサラの聖なる建造物群

Sacred Ensembles of the Hoysalas

インド、文化遺産(i)(ii)

※インドは複数の物件を推薦中で「サンティニケタン」を優先する旨を表明

 

■ジョグジャカルタの世界軸と歴史的建造物群

The Cosmological Axis of Yogyakarta and its Historic Landmarks

インドネシア、文化遺産(i)(ii)(iii)(vi)

 

■加耶古墳群

GayaTumuli

韓国、文化遺産(iii)

 

■コー・ケー:古代リンガプラあるいはチョック・ガルギャーの考古遺跡

Koh Ker: Archaeological Site of Ancient Lingapura or Chok Gargyar

カンボジア、文化遺産(ii)(iv)

 

■シー・テープの古代都市

The Ancient Town of Si Thep

タイ、文化遺産(ii)(iii)

 

■普洱[ふじ/プーアル]の景迈山古茶林の文化的景観

Cultural Landscape of Old Tea Forests of the Jingmai Mountain in Pu’er

中国、文化遺産(ii)(v)

 

■トロンデック=クロンダイク

Tr’ondëk-Klondike

カナダ、文化遺産(iv)

 

■タカリク・アバフ国立遺跡公園

National Archaeological Park Tak’alik Ab’aj

グアテマラ、文化遺産(i)(ii)(iii)(iv)(vi)

 

■ブラジル要塞建造物群

Brazilian Fortresses Ensemble

ブラジル、文化遺産(ii)(iv)

 

■ゲデオの文化的景観

The Gedeo Cultural landscape

エチオピア、文化遺産(iii)(v)

※エチオピアは複数の物件を推薦中で「ゲデオの文化的景観」を優先する旨を表明

 

 

<自然遺産:5件>

 

■プレー山の火山群と森林群及びマルティニーク島北部の山地

Volcans et forêts de la Montagne Pelée et des pitons du nord de la Martinique

フランス、自然遺産(viii)(x)

 

■ヴェトレニツァ洞窟

Vjetrenica Cave

ボスニア・ヘルツェゴビナ、自然遺産(vii)(x)

 

■バレ山地国立公園

Bale Mountains National Park

エチオピア、自然遺産(vii)(x)

※エチオピアは複数の物件を推薦中で「ゲデオの文化的景観」を優先する旨を表明

 

■オザラ=コクア森林山塊

Massif Forestier d’Odzala-Kokoua

コンゴ共和国、自然遺産(ix)(x)

 

■リュウケツジュの地

Aire du Dragonnier Ajgal

モロッコ、自然遺産(ix)(x)

 

 

<複合遺産:3件>

 

■金剛山-海から立ち上がるダイヤモンド・マウンテン

Mt. Kumgang – Diamond Mountain from the Sea

北朝鮮、複合遺産(iii)(vii)(viii)

 

■モンゴル・アルタイの高原群

Highlands of the Mongolian Altai

モンゴル、複合遺産(ii)(iii)(iv)(v)(x)

 

■メルカ・クンツレとバルヒトの考古学的・古生物学的遺跡

Melka Kunture and Balchit Archaeological and Paleontological Site

エチオピア、複合遺産(iii)(iv)(v)(viii)

※エチオピアは複数の物件を推薦中で「ゲデオの文化的景観」を優先する旨を表明

 

 

<重大な変更:6件>

 

■聖アメナプルキッチ修道院[ニュー・ジュルファ・ヴァンク]

Monastery of St. Amenaprkich (New Julfa Vank)

イラン、文化遺産(ii)(iii)(vi)

※世界遺産「イランのアルメニア修道院群(2008年、文化遺産(ii)(iii)(vi))」の範囲拡大

※イランは複数の物件を推薦中で「ペルシアのキャラバンサライ」を優先する旨を表明

 

■ナクシェ・ロスタムとナクシェ・ラジャブ

Naqsh-e Rostam and Naqsh-e Rajab

イラン、文化遺産(i)(iii)(vi)

※世界遺産「ペルセポリス(1979年、文化遺産(i)(iii)(vi))」の範囲拡大

※イランは複数の物件を推薦中で「ペルシアのキャラバンサライ」を優先する旨を表明

 

■クタマク、バタマリバ人の土地

Koutammakou, the Land of the Batammariba

ベニン、文化遺産(v)(vi)

※トーゴの世界遺産「クタマク、バタマリバ人の土地(2004年、文化遺産(v)(vi))」のベニンへの範囲拡大

 

■ヒルカニア森林群

Hyrcanian Forests

アゼルバイジャン、自然遺産(ix)(x)

※イランの世界遺産「ヒルカニア森林群(2019年、自然遺産(ix))」のアゼルバイジャンへの範囲・登録基準の拡大

 

■ハロン湾=カット・バ諸島

Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago

ベトナム、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)

※世界遺産「ハロン湾(1994年、2000年、自然遺産(vii)(viii))」の範囲・登録基準の拡大

 

■アンドルファナの乾燥林

Les forêts sèches de l’Andrefana

マダガスカル、自然遺産(vii)(ix)(x)

※世界遺産「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区(1990年、自然遺産(vii)(x))」の範囲・登録基準の拡大

 

 

[関連記事]

※さらに過去の関連記事へリンクあり

世界遺産NEWS 23/07/24:2023年の世界遺産候補地と勧告結果(続報)

世界遺産NEWS 23/01/26:世界遺産委員会臨時会合でオデーサなど3件を世界遺産リストに緊急登録

世界遺産NEWS 22/04/22:ボイコット声明を受け第45回世界遺産委員会の延期が決定

世界遺産NEWS 23/07/26:2024年の世界遺産候補地(翌年の世界遺産候補地)

世界遺産NEWS 19/05/24:2020年の世界遺産候補地(前年の世界遺産候補地)

世界遺産NEWS 21/06/07:2021年の世界遺産候補地と勧告結果

 


トップに戻る パソコン版で表示