マチュピチュと並んで人気が高いフランスの世界遺産「モンサンミッシェルとその湾」。
2013年7月25日、そのモンサンミッシェルが134年ぶりに島に戻りました。
かつてのモンサンミッシェルは孤島にたたずむ修道院。
干満の差が大きいために潮の流れがとても早くて、島に渡る修道士たちは遺言書を書いてから渡ったと伝えられています。
ところが1879年に大陸と島をつなぐ堤防道路が築かれて以来、モンサンミッシェルは「島」ではなくなってしまいました。
堤防道路はモンサンミッシェルの美しい景観を損なっただけでなく、干満による潮の流れを遮断。
それまではクエノン川、セー川、セリューヌ川という3つの川からもたらされる土砂は川と潮の流れによって沖へ運ばれていましたが、この道路ができて以来、土砂が島の周りに堆積し、陸地化が進んでいました。
これに対してフランス政府は2005年からモンサンミッシェルをふたたび島に戻す計画を実施しています。
2009年にはクエノン川にダムが完成。
巨大なカムの付いたこのダムは、水流を増すことで土砂を沖へと排斥する役割を果たしています。
観光客も見学可能で新しい観光名所として人気を集めています。
また、現在堤防道路に代わって「橋」を建設中です。
橋は堤防と違って潮の流れを妨げませんし、景観に影響を与えないよう目立たないデザインで最小限に造られています。
その代わり、島に隣接していた駐車場やバスターミナルは大陸側に移され、橋は徒歩、あるいは公共機関のみの通行となる予定です(2012年から堤防道路もこの形での見学となっています)。
今回、この橋を通すために堤防道路の一部を切断しました。
これによりモンサンミッシェルは大陸と分断され、134年ぶりに島に戻りました。
といっても20分後には水が引いて、ふたたび大陸とつながったようです。
橋が完成するのは2014年。
ダムと橋の効果で堆積した土砂が流し出されるのは早くて2015年とのこと。
その頃には修道士たちが命懸けで渡ったという潮の流れが復活していることでしょう。
私は一度訪ねましたが、その頃にぜひもう一度、訪ねてみたいと思います。
[関連サイト]
モンサンミッシェル/フランス(All About「世界遺産」)
Site officiel de l'office de tourisme du mont saint michel(公式サイト。英語/フランス語)