ベトナムの世界遺産「フォンニャ=ケバン国立公園」の管理委員会は4月中旬、新たに22の洞窟と、既知の洞窟3洞で新たな支洞を発見したことを発表しました。
新発見の洞窟と支洞の総延長は3,550mに及びます。
■Phát hiện thêm 22 hang động mới tại tỉnh Quảng Bình năm 2024(VQG Phong Nha Ke Bàng)
今回はこのニュースをお伝えします。
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フォンニャ=ケバン国立公園管理委員会とイギリス洞窟研究協会は協力して毎年3~4月にフォンニャ=ケバン国立公園の洞窟調査を実施しています。
いつも数々の発見があり、本サイトでも下の記事をアップしています。
■世界遺産NEWS 20/05/01:フォンニャ=ケバン国立公園で新たに12洞窟を発見
2022年からコロナ禍で調査が中断されていましたが、2023年に再開するとさっそく22の洞窟を発見しました。
深さ278mを誇り高い滝が見られるヌオック・ガム洞窟や、直径100m・高さ80mの巨大通路を持つヌオック・ラン3洞窟、数多くの開口部を持つ特殊な洞窟群も報告されており、これら22洞の総延長は11.7kmに達します。
そして今年は3月1~15日にかけて12人の専門家によって調査が行われました。
発見されたのは22の新洞窟と、既知の洞窟3洞の新支洞で、総延長は3,550mに及びます。
長いものはオン・ダウ洞窟の572m、ヴク・フン洞窟の430mで、他は30~236mの長さで、高さは46~55mほどとなっています。
また、既知の3洞はヴァ洞窟、ドイ・トリエン洞窟、ティエン洞窟で、ヴァ洞窟の支洞は全長516mに達します。
ぼくが2016年にAll About 世界遺産の「フォンニャ-ケバン国立公園/ベトナム」を書いたとき、洞窟の数は300以上と記しました。
この後、2016年に57、2017年に50、2018年に32、2020年には12の洞窟が報告され、2023年、2024年の発見を合わせて総計は450~500になりました。
すごい増え方ですね。
フォンニャ=ケバン国立公園はラオス国境に接しているのですが、ラオス側にはヒン・ナム・ノ国立公園が広がっており、資産を拡大する形での世界遺産登録を目指しています。
すでに推薦書を提出しており、今年7月に行われる第46回世界遺産委員会で拡大登録の可否が決定します。
このヒン・ナム・ノ国立公園にも多数の洞窟があり、合わさればさらに数百の洞窟が加わります。
特に世界屈指の規模を誇る地下河川の浸食洞窟であるセ・バン・ファイ洞窟は7kmもの長さを誇ります。
ヒン・ナム・ノ国立公園でも新たな洞窟の発見が報告されていますが、こちらでは新種の生物の発見も相次いでいます。
2022年8月にはアガマであるキノボリトカゲの一種、ラオドラコン・カルスティコラ(カムアン・カルスト・ドラゴン。「ラオスのカルストの住人」の意)が発見され、翌年発表されました。
標高50~70mほどのカルストの岩場に生息する体長30cmほどのトカゲの仲間で、石灰岩とほぼ同じ外観の皮膚で覆われています。
このため静止している状態だとほとんど見えないほどの擬態で、現地の人々もめったに見ないと語っているようです。
フォンニャ=ケバンにしてもヒン・ナム・ノにしても一帯のほとんどが手付かずの原生林です。
地上も地下も人跡未踏のエリアが数多く残されていますから、今後も新たな発見が続きそうです。
[関連記事&サイト]
フォンニャ-ケバン国立公園/ベトナム(All About 世界遺産)
世界遺産写真館10.フォンニャ=ケバン国立公園1(ベトナム)
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