山形大学は12月8日、坂井正人教授を中心としたナスカ研究所の研究グループがペルーのナスカ台地とナスカ市街地付近で新たに地上絵168点を発見したことを発表しました。
ナスカ地方ではこれまでに約400点の地上絵が発見されていますが、このうち358点を同大のチームが発見しています。
■168点の新地上絵をナスカ台地とその周辺部で発見 ~新地上絵と保護~(山形大学)
今回はこのニュースをお伝えします。
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山形大による地上絵発見のニュースはこれまでに2度記事にしています。
これらはいずれも坂井正人教授を中心としたナスカ研究所のチームが中心となって行った調査・研究によるものです。
公式サイトの沿革から地上絵発見に関する項目を抜粋してみましょう。
■ナスカ研究所による発見
※公式サイトより
ここに今回発表された168点の地上絵の発見が加わります。
ナスカ地方ではこれまでに約400点の地上絵が見つかっていますが、そのおよそ9割、358点を同研究所のチームが発見しています。
すごいですね。
今回の発見は2019年6月から2020年2月に行われた航空レーザー測量とドローンを活用した現地調査に加え、その後のAIを活用したデータ解析などによってもたらされました。
地上絵の制作年代は紀元前100~後300年頃と見られ、モチーフは人間やラクダ科の動物の群れ、ネコ科の動物、鳥、ヘビ、シャチなどとなっています。
地上絵は地表に広がる黒い石を取り除き、下に広がる白い砂の層を露出することで描かれています。
ナスカ地方には線状に絵を描いていくものと、面状に砂を除去して描くものの2タイプがありますが、今回の発見の中で線状の絵は5点のみで、残り163点が面状の絵です。
ただ、全長50mに達するような巨大な絵は線状の絵に多く、面状の作品については多くが全長10m以下となっています。
新地上絵168点は2019年6月から9か月ほどの調査で発見されたものですが、このような短期間にこれほどの数が発見された理由として、衛星や航空機・ドローンによる画像やこれまでの成果によって地上絵が描かれた場所がある程度特定できたことと、IBM T.J. ワトソン研究所との協力によるAI解析によって地上絵候補を自動的に抽出できた点が挙げられています。
中には人の目では判別が難しいほど薄い地上絵もあり、こうした作品をどのように保護していくかという課題も出てきています。
今回、36点の地上絵はナスカ郊外のアハ地区の遺跡公園で発見されていますが、この遺跡公園はナスカ研究所が発見した41点の地上絵を保護するために2017年に設置されたものです(遺跡公園では計77点の地上絵が発見されたことになります)。
ナスカ研究所は今後も先端技術を利用して調査・研究を進めながら、ペルー文化省などと協力して保護活動を進めていくということです。
[関連サイト&記事]
山形大学ナスカ研究所(山形大学)
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