モアイで有名なイースター島の世界遺産「ラパ・ヌイ国立公園(チリ)」。
400体近いモアイが集中している園内のラノ・ララクで山火事が発生し、多くのモアイが被害を受けました。
一部は火にさらされて煤(すす)で汚れ、修復不能と思われるひび割れも確認されています。
■Sacred Easter Island statues suffer 'irreparable damage' after volcano fire(CNN)
今回はこのニュースをお伝えします。
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イースター島はまさに絶海の孤島で、もっとも近い島まで400km以上、もっとも近い大陸まで3,500km以上も離れています。
海底火山の噴火でできた海洋島で、3つの火山があり、多くの火口が横たわっています。
火口のひとつがラノ・ララクと呼ばれるカルデラです。
カルデラの周囲はゴツゴツとした岩山になっており、麓には草原が広がっています。
古くからの採石場で、島のほとんどのモアイはこのラノ・ララクで制作され、島の各所に運ばれていました。
島内には約900体のモアイが存在しますが、400体近いモアイがラノ・ララクに集中しています。
中にはまだ切り出されておらず、岩にモアイを彫った状態で打ち捨てられた未完成のモアイも存在します。
さて、今回のニュースです。
10月4~5日にかけてラノ・ララクで山火事があり、100ha(約1平方km)以上を焼き払いました。
モアイ自体は石なので燃えませんが、草が燃えることで黒く煤ぼけたり、熱によるひび割れが確認されたモアイもあるそうです。
報道によってはラノ・ララクのモアイの20%が被害を受けたとしています。
ラパ・ヌイ国立公園の管理者であるアリキ・テパノ氏は取り返しがつかないレベルの被害が出たことをFacebookで報告しています。
現在、CNM(チリ国定記念物評議会)などの担当者が被害の程度を確認しており、チリ本土からも専門家が来島する予定だということです。
原因について、島の長であるパオア氏は「事故ではない」としています。
イースター島でこれまで起こった火事はすべて人間によって引き起こされており、焼き畑など人為的な原因である可能性が高いとしています。
イースター島は新型コロナ感染症の影響で2020年から約2年間にわたって観光の閉鎖を続けてきました。
2か月前の8月5日にようやく再開されたばかりで、これから復興というタイミングでの火災となりました。
現在、ラノ・ララクはふたたび閉鎖され、当面、調査と修復が続きます。
被害が最小限であること、修復が可能であること、島の復興が進むことを祈ります。
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