「富岡製糸場と絹産業遺産群」の名称で世界遺産リストに搭載されている富岡製糸場ですが、その象徴である煙突の保存整備工事のためにクラウドファンディングを実施中です。
コロナ禍で来場者が大幅に落ち込んで財源が不足しているためで、目標額は8,000万円、募集期間は3月18日までとなっています。
今回はこのニュースをお伝えします。
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新型コロナウイルス感染症の影響であらゆる世界遺産で来場者が大幅に減っています。
世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」も同様で、中心的な構成資産である富岡製糸場ではコロナ禍前の2019年度の44.2万人から20年度には17.7万人まで約60%も減少し、最盛期の14年度の133万人と比較すると86.7%も激減しています。
そして今年度、21年度の見込みも25万人に低迷しています。
富岡製糸場は富岡市が管理していますが、財源である富岡製糸場基金の多くは入場料収入で賄われています。
基金残高は16年度末の約10億円から約7千万円まで落ち込んでおり、20年度には1億円超の赤字を計上しました。
このままでは来年度以降の保存整備工事の新規事業が実施できない状況です。
喫緊の対応が必要な事業として挙げられるのが街の象徴になっている煙突の修理です。
ちょうど150年前の1872年に操業を開始した富岡製糸場では動力として蒸気エンジンを使用していました。
蒸気エンジンは石炭を燃やして湯を沸かし、蒸気の力を取り出す装置ですが、このとき黒い煙が出てきます。
この煙の煤が糸に付くのを避けるために高い煙突が必要とされました。
そこでフランスから高さ36mほどの鉄製の煙突を輸入し、レンガの基礎の上に建てたうえで、鉄の鎖を四方に張って支えました。
高層建築のない当時としては際立って高い人工建造物で、街の象徴となりました。
しかし、この煙突は1884年に暴風雨を受けて倒壊し、基礎が残るのみとなっています。
現在の煙突は1939年に建てられた4代目で、直径2.5m・高さ37.5mの鉄筋コンクリート製となっています。
築80年以上が経過して上部には亀裂が入っており、大地震や竜巻で倒壊する恐れがあり、一刻も早い保存整備工事が必要であるということです。
もともと基金を利用する予定でしたが、入場料収入の落ち込みからそれも困難となりました。
工事費用は3.2億円で、国と県が2.4億円を負担します。
残りの8千万円が市の負担ですが、この費用を確保するために市はクラウドファンディングによる資金調達に踏み切りました。
概要は以下となっています。
○ガバメントクラウドファンディングの概要
世界遺産に名前を刻むチャンスです。
詳細は上のwebサイトを参照してみてください。
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