9月上旬、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館の古生物学チームは世界遺産「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」に含まれるクーテネイ国立公園のバージェス頁岩地帯で、約5億年前に生きた新種の海洋生物の化石を発見したことを発表しました。
バージェス頁岩地帯は「バージェス動物群」と呼ばれる古生代カンブリア紀に繁栄したユニークな動物群で知られますが、その中でも最大級の大きさと見られます。
■Massive new animal species discovered in half-billion-year-old Burgess Shale(Phys.org)
今回はこのニュースをお伝えします。
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カンブリア爆発後の動物群のCGアニメーション。20秒前後に登場するのがアノマロカリス、32秒前後がハルキゲニア
地球史は地質年代において以下のように区分されています。
○地質年代の区分
○顕生代の区分
この中で、特に5億5,000万年ほど前から生物が急激に多様化し、現在の動物門のほとんどが出現しました。
この爆発的な生物の広がりを「カンブリア爆発」といい、生物が顕(あらわ)れる時代=顕生代の先陣を切る古生代カンブリア紀(5億4,000万~4億9,000万年前)がはじまります。
20世紀はじめ、カナディアン・ロッキーのヨーホー国立公園にそびえるバージェス山の頁岩(けつがん。泥が固まってできた板状で薄く剥離しやすい堆積岩)層から化石として非常に残りにくい軟体性動物の化石が多数発見されました。
きわめてユニークな形状から「奇妙奇天烈 "Weird Wonders"」動物と名付けられ、大きな話題になりました。
のちにこの地層は「バージェス頁岩」、特徴的な動物群は「バージェス動物群」と命名されました。
現在の定説では5億900万~5億450万年前のカンブリア紀ウリューアン期に繁栄した動物群と考えられています。
この地は1980年に「バージェス頁岩地帯」として世界遺産リストに搭載されましたが、1984年に世界遺産「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」が登録されるとここに吸収されました。
バージェス頁岩地帯はヨーホー国立公園からクーテネイ国立公園にかけて広がっていますが、いずれの国立公園も構成資産となっています。
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今回発見されたティタノコリス・ゲイネシ
さて、今回の発見です。
ロイヤル・オンタリオ博物館の古生物学チームはクーテネイ国立公園の頁岩地帯で、バージェス動物群としてはこれまでで最大級となる動物の化石を発見し、9月8日発行の "Royal Society Open Science" 誌上で発表しました。
ティタノコリス・ゲイネシ "Titanokorys gainesi" と名付けられたこの新種は体長およそ50cmで、1m近くまで成長する可能性があるようです。
この時代の動物はほとんどが数cmなので、非常に大型といえます。
身体のほとんどが頭と見られ、3枚の甲羅で覆われており、目は多角形で、羽を並べたようなヒレを持っています。
前方下部には触角のような突起群とパイナップルを輪切りにしたような大きな口があり、口の周りは針のようなもので覆われています。
節足動物の一種で、種としてはラディオドンタ類(アノマロカリス類)に属し、最初の動画にも登場する有名なアノマロカリスの近縁種です。
アノマロカリスは当時の生態系の頂点に君臨していましたが、ティタノコリス・ゲイネシも同様の捕食動物であるようです。
動画を見ると本当に奇妙な動物ですね。
現在とまったく異なる古代の生態系にはとてもそそられます。
過去には「世界遺産NEWS 15/06/30:古代生物ハルキゲニアの復元像が修正へ」でハルキゲニアを紹介していますが、こちらもバージェス動物群の動物です。
こちらについては下のリンクから参照ください。
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