世界でもっとも有名な塔であろうピサ大聖堂付属鐘楼、いわゆるピサの斜塔。
11月下旬に発表された監視団の報告によると、塔はほぼ安定しており、この17年間で傾斜はむしろ4cm改善されたということです。
■Leaning Tower of Pisa 'now leaning less'(BBC。英語)
今回はこのニュースをお伝えします。
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いつか倒壊するだろう――
20世紀後半、ピサの斜塔が毎年約1.2mmずつ傾きを増していることが確認されるとこう言われるようになり、1990年には塔への入場が禁止されました。
傾きを改善するために斜塔の周囲に重りを載せたり、ワイヤーで引っ張ったりといった方法が試みられましたがうまくいかず、1997年から傾斜と反対側の地中の土を取り除くことで約40cm、1度以上が是正されました。
この結果、2001年には一般公開が再開され、人数制限はあるものの頂上まで上ることができるようになりました。
これ以降も監視団を置いてモニタリングを行い、3か月に1度開催されている調査委員会に報告されています。
そして監視団は11月21日、斜塔の角度が2001年よりほんのわずか改善されており、この17年で4cm傾斜が緩くなっていると発表しました。
担当者は、「傾きが解消されることはないが、安定していることは非常に重要で、少なくともあと200年は安定が維持できると考えられる」としています。
そもそもピサの斜塔はどうやっても真っすぐすることのできない建物です。
この斜塔は2度以上、工事が中断されており、少なくとも3期に分けて築かれています。
それぞれの時代で塔は傾き、続く工事ではそれを修正するために途中から真っすぐになるように建築していきました。
その結果、塔は全7層の3~4層目で角度が変わっており、さらに最上層は水平に近く調整されています。
塔自体がこのように折れ曲がっているため全体を真っすぐすることはできません。
永久に斜塔としてあり続ける運命にある塔なのです。
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