南太平洋、ポリネシア東部の洋上に浮かぶ孤島ヘンダーソン島。
イギリスの海外領土として知られているこの島は、その美しさと希少な生態系が評価されて世界遺産リストに登録されています。
人っ子ひとりいない無人島であるわけですが、この島の海岸は3,800万ものゴミに覆われているようです。
■How an Uninhabited Island Got the World’s Highest Density of Trash(NATIONAL GEOGRAPHIC)
■Remote island has 'world's worst' plastic rubbish density(BBC)
今回はこのニュースをお伝えします。
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世界遺産「ヘンダーソン島」は1988年にイギリスの世界遺産として登録されました。
自然美を評価する登録基準(vii)と貴重な生息域を評価する(x)をクリアしているように、石灰岩からなる宝石のような美しさや、ヘンダーソンクイナをはじめとする数々の固有種・絶滅危惧種で知られています。
周辺には200km離れた場所にあるピトケアン島をはじめ小島はいくつかありますが、大きな島や大陸となるとニュージーランド北島にしても南米大陸にしても5,000km以上行かなくてはたどり着けない絶海の孤島となっています。
淡水も確保できないことから住民はおらず、少なくとも西洋人に発見された17世紀以降は無人島となっています。
上のふたつの記事によると、無人島であるにもかかわらず海岸は3,800万個のゴミであふれており、1平方mあたり671個という密度で、毎日3,500個が新たに漂着しているようです。
ゴミは世界各地からのもので、日本を含め、アメリカやロシア、中国、チリ等々、太平洋に面する全域から流れ着いているということです。
ゴミの多くはプラスチック製で、漁に使う網やウキ、ボトルやヘルメット等々で、2/3は埋もれていました。
さらに憂慮すべきことに、近年生態系への影響が注目されるようになった5mm以下の微細なマイクロ・プラスチックについては調査できていないということです。
マイクロ・プラスチックを動物プランクトンが食べ、動物プランクトンや小型のプラスチック・ゴミを魚が食べ、大型の魚や鳥たちがこうした魚やゴミを食べたり誤飲しています。
プラスチックから溶け出した有害物質の問題もあり、総合的に生態系にどれほどの影響を与えるのかについてはさらなる調査が必要であるようです。
プラスチック・ゴミは深海や北極・南極圏でも発見されており、海洋においてはもはやゴミと無縁である場所は存在しないようです。
身近なゴミ問題も地球規模で考えなくてはならない時代であるようです。