3月下旬、政府は2018年の無形文化遺産・代表リストへの登録を目指してUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)に「来訪神:仮面・仮装の神々」の登録申請を行いました。
実はこの物件、昨年も同時期に申請を行っており、今年の11~12月に登録の可否が決まる予定だったのですが、審議が延期されています。
この辺りの事情も含めてこのニュースをお伝えします。
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男鹿のナマハゲ
UNESCO三大遺産事業のひとつ、無形文化遺産。
毎年冬に無形文化遺産委員会(無形文化遺産保護条約政府間委員会)が開催されていて、新たな物件の審議が行われています(詳細は最後にリンクを張った「UNESCO遺産事業リスト集2.無形文化遺産リスト」を参照)。
日本は2017年の登録を目指して2016年に「来訪神:仮面・仮装の神々」を推薦していましたが、世界各国からの推薦件数が1年の審査上限50件を超える56件に及んだため、世界第2位の保有数(21件)を誇る日本の推薦物件の審議延期が申し渡されました。
その代わり2018年に50件を超えても日本の推薦物件の審議は保証されます。
もともとこの物件は2009年に代表リストに登録された「甑島(こしきじま)のトシドン」に新たに7件を加えて8件に拡大しようというものでした。
政府は今回の再推薦にあたり、構成資産を10件に増やすことを決定しました。
能登のアマメハギ
「来訪神:仮面・仮装の神々」の内容を外務省の報道資料から抜粋しましょう。
■名称
来訪神:仮面・仮装の神々
■内容
仮面・仮装の異形の姿をした者が、「来訪神」として正月などに家々を訪れ、新たな年を迎えるに当たって怠け者を戒めたり、人々に幸や福をもたらしたりする行事。
■分野
年中行事(儀式 rituals)
■構成
※は2016年の推薦の際になかったものです
■提案要旨
登録の可否は2018年11~12月に開催される無形文化遺産委員会で決定する予定です。
吉浜のスネカ
無形文化遺産に関して文化庁は2月、これまで原則として文化財保護法の無形文化財を推薦対象としてきた方針を拡大し、伝統的な生活文化に関する物件を対象として検討することを発表しました。
名前が出たのは茶道、華道、書道、盆栽、和装です。
間違いなく日本の伝統文化ですが、どのような視点でこれらを登録に導くのか、そのロジックに注目です。
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