17/04/10:来訪神行事10件を無形文化遺産に推薦 - ART+LOGIC=TRAVEL [旅を考えるweb]

世界遺産NEWS 17/04/10:来訪神行事10件を無形文化遺産に推薦

3月下旬、政府は2018年の無形文化遺産・代表リストへの登録を目指してUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)に「来訪神:仮面・仮装の神々」の登録申請を行いました。

 

実はこの物件、昨年も同時期に申請を行っており、今年の11~12月に登録の可否が決まる予定だったのですが、審議が延期されています。

この辺りの事情も含めてこのニュースをお伝えします。

 

* * *

男鹿のナマハゲ

 

UNESCO三大遺産事業のひとつ、無形文化遺産。

毎年冬に無形文化遺産委員会(無形文化遺産保護条約政府間委員会)が開催されていて、新たな物件の審議が行われています(詳細は最後にリンクを張った「UNESCO遺産事業リスト集2.無形文化遺産リスト」を参照)。

 

日本は2017年の登録を目指して2016年に「来訪神:仮面・仮装の神々」を推薦していましたが、世界各国からの推薦件数が1年の審査上限50件を超える56件に及んだため、世界第2位の保有数(21件)を誇る日本の推薦物件の審議延期が申し渡されました。

その代わり2018年に50件を超えても日本の推薦物件の審議は保証されます。

 

もともとこの物件は2009年に代表リストに登録された「甑島(こしきじま)のトシドン」に新たに7件を加えて8件に拡大しようというものでした。

政府は今回の再推薦にあたり、構成資産を10件に増やすことを決定しました。

能登のアマメハギ

 

「来訪神:仮面・仮装の神々」の内容を外務省の報道資料から抜粋しましょう。

 

■名称

来訪神:仮面・仮装の神々

 

■内容

仮面・仮装の異形の姿をした者が、「来訪神」として正月などに家々を訪れ、新たな年を迎えるに当たって怠け者を戒めたり、人々に幸や福をもたらしたりする行事。

 

■分野

年中行事(儀式 rituals)

 

■構成

  • 甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)
  • 男鹿のナマハゲ(秋田県男鹿市)
  • 能登のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)
  • 宮古島のパーントゥ(沖縄県宮古島市)
  • 遊佐の小正月行事(山形県遊佐町)
  • 米川の水かぶり(宮城県登米市)
  • 見島のカセドリ(佐賀県佐賀市)
  • 吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)
  • 薩摩硫黄島のメンドン(鹿児島県三島村)※
  • 悪石島のボゼ(鹿児島県十島村)※

※は2016年の推薦の際になかったものです

 

■提案要旨

  • 「来訪神:仮面・仮装の神々」は、正月など年の節目となる日に、仮面・仮装の異形の姿をした者が「来訪神」として家々を訪れ、新たな年を迎えるに当たって怠け者を戒めたり、人々に幸や福をもたらしたりする行事である。
  • 「来訪神」行事は、伝承されている各地域において、時代を超え、世代から世代へと受け継がれてきた年中行事であり、それぞれの地域コミュニティでは、「来訪神」行事を通じて地域の結びつきや、世代を超えた人々の対話と交流が深められている。
  • 「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載は、地域の人々の絆としての役割を果たしている無形文化遺産の保護・伝承の事例として、国際社会における無形文化遺産の保護の取組に大きく貢献するものである。

 

登録の可否は2018年11~12月に開催される無形文化遺産委員会で決定する予定です。

吉浜のスネカ

 

無形文化遺産に関して文化庁は2月、これまで原則として文化財保護法の無形文化財を推薦対象としてきた方針を拡大し、伝統的な生活文化に関する物件を対象として検討することを発表しました。

名前が出たのは茶道、華道、書道、盆栽、和装です。

 

間違いなく日本の伝統文化ですが、どのような視点でこれらを登録に導くのか、そのロジックに注目です。

 

 

[関連記事]

UNESCO遺産事業リスト集2.無形文化遺産リスト

世界遺産NEWS 18/12/01:2018年新登録の無形文化遺産リスト(続報。登録決定)

世界遺産NEWS 18/02/10:伝統建築工匠の技、無形文化遺産へ推薦決定

世界遺産NEWS 16/02/28:来訪神行事8件を無形文化遺産に推薦決定

 


トップに戻る パソコン版で表示