29の活火山を含む300以上の火山を要して「火山の博物館」の異名を持つロシアの世界遺産「カムチャツカ火山群」。
このところこちらの火山群で噴火や地震が相次いでいます。
今回はこのニュースをお伝えします。
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絶えることなく活動を続けている「カムチャツカ火山群」ですが、この3~4月にかけて火山活動が活発化しているようです。
3月9日、クリュチェフスカヤ山とベズイミアニ山が相次いで噴火しました。
標高4,750mのクリュチェフスカヤ山はカムチャツカ半島の最高峰で、活火山としてはユーラシア大陸でも最高峰を誇ります。
富士山と同じ成層火山で、均整の取れた美しい姿から「カムチャツカ富士」とも言われます。
一方、クリュチェフスカヤ山の南西約5kmに位置する標高2,882mのベズイミアニ山は1955年にはじめて噴火した新しい火山です。
当時の噴火は非常に大規模で、3,085mあった標高が200m以上も低くなる山体崩壊を引き起こしています。
9日未明、まずはクリュチェフスカヤ山が5,000m以上も噴煙を上げる爆発を起こし、続いてベズイミアニ山が噴火して8,000m近くに達する噴煙を上げました。
火山灰は500km離れた場所でも確認されています。
両火山は2010年2月にもほぼ同時に噴火していますが、互いにマグマの通り道やマグマ溜まりは異なっているようです。
ただ、太平洋プレートが北アメリカプレートに潜り込む際に起こる摩擦熱や海水による融点降下で形成されたマグマが発生・上昇して噴火するというメカニズム自体は同じであるため、同時期に噴火することもあると考えられています。
クリュチェフスカヤ山は3月30日~4月2日にかけてふたたび爆発的な噴火を起こしており、6,000m近くに達する噴煙を上げています。
今後も噴火が続くと見られており、付近を航行する航空機に警戒を呼び掛けています。
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さらに3月24日、クリュチェフスカヤ山やベズイミアニ山から600kmほど南に位置するカンバルニー山が約250年ぶりに活発化して噴火を開始しました。
標高2,156mのカンバルニー山は1769年を最後に活動を行っていませんでしたが、24日朝に突如噴煙を吹き出しはじめると、夕方には爆発的な噴火を起こして6,000m上空まで噴煙を噴き上げました。
ロシア科学アカデミーの火山地震研究所によると、明確な噴火については14世紀以降、約670年ぶりになるかもしれないようで、この火山に関するデータは少なく、今後の予測もつかないということです。
カンバルニー山はカムチャツカ半島の南端にあり、千島列島の20以上の火山群を経て北海道の東岸に続いています。
これまでのところ日本にハッキリとした影響は現れていませんが、北アメリカプレートや太平洋プレートは日本列島にも大きな影響を与えるプレートですから心配です。
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