標高3,350mを誇るイタリアの世界遺産「エトナ山」。
富士山と同じ成層火山ですが、ヨーロッパ最大の活火山でイタリア最高峰を誇り、世界でもっとも活発に活動している成層火山と言われています。
そのエトナ山が2月27日に噴火しました。
今回はこのニュースをお伝えします。
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イタリア・シチリア島に位置するエトナ山は古代から噴火を繰り返すヨーロッパ最大の活火山です。
ギリシア神話によると、一時は最高神ゼウスを打ち破った不死の怪物テュポーンがこの山の下に封じられており、テュポーンが地中で暴れるたびに噴火すると伝えられています。
噴火活動は当時この地が海中にあった50万年前から開始され、1169年と1669年には1万~2万人の被害者を出す大噴火を起こしました。
21世紀に入ってからは毎年のように噴火しているのですが、2015年12月にはボラジネと呼ばれる火口から噴火して上空7,000nにまで噴煙を噴き上げました。
エトナ山の噴火はストロンボリ式からハワイ式と呼ばれるタイプで、流動性が高い溶岩のために火山ガスや水蒸気が抜けやすく、エネルギーをため込むことがない代わりに活動が長期化する傾向があります。
そのため安全な火山と認識されており、現地では火口付近を散策するツアーが催行され、溶岩を噴出するとこれを見に観光客が増加するというおもしろい火山であったりします。
そのエトナ山で今年1月下旬から火山性地震が多発するようになり、噴煙や火山弾などの活動も活発化していました。
2月下旬に火口付近でマグマが観察されると、27日に本格的な噴火がはじまりました。
上の動画はその際の映像です。
これまでのところ危険はなく、麓の町カターニアも落ち着いた様子で、被害も報告されていないということです。
スキー場も営業を続けており、噴煙や噴出物を見ながらスキーをするなんていうことができるようですが、下の映像を見ると本当に安全なのかと少し心配してしまいます。
紀元前425年頃から記録があるようなので、シチリアの住民は少なくとも2,400年間は噴火と付き合ってきたことになります。
だからこその落ち着きなのでしょうけれど、カターニアの町は1669年に溶岩に飲み込まれた歴史も持っていたりします。
近年スキー場をはじめエトナ山は急速に開発されており、人口も増え続けています。
いずれ1169年や1669年並みの大噴火が起こる可能性も否定できないということで、警戒を呼び掛ける科学者もいるようです。
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