2013年にトルコの世界遺産「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」のカッパドキア・ネヴシェヒルで新たな地下都市が発見されました。
発見はまったくの偶然で、トルコの住宅促進機構がネヴシェヒルの城砦に設置された集合住宅を解体中に作業員が入り口に気づき、入ってみたところその先に人工的なトンネルが縦横無尽に広がっていたということです。
自治体は住宅跡地で宅地開発を行う予定でしたがこれを中止し、学者による調査を開始しました。
その結果、通路や水路・換気口、礼拝堂・ワイナリー・オイル精製所・倉庫・調理場・寝室などの部屋、陶磁器や十字架といった遺物が発見されました。
もともとカッパドキア周辺にはたくさんの地下都市があり、旅行者もそのいくつかを見学することができます。
ぼくはデリンクユとカイマクルの地下都市を訪ねましたが本当に度肝を抜かれました。
内部はまさに蟻の巣です。
上下左右に縦横無尽にトンネルが掘られており、そんな空間が深さ100m近くまで続いています。
やはり換気口や礼拝堂・ワイナリーなどがあり、6,000~15,000人が暮らしていたということでした(下の動画では、デリンクユは20,000人と解説されていますが)。
「都市」というのは大げさだろうと思っていましたが、まさに都市といえる規模でした。
地下都市の詳細については下記動画をご覧ください。
英語ですが、最初の数分を見るだけでもイメージが湧くと思います。
当時、これらの地下都市は7世紀頃、アラブ帝国(ウマイヤ朝)やイスラム帝国(アッバース朝)といったイスラム教徒による支配から逃れるためにキリスト教徒が建設をはじめたと考えられていました。
そして7世紀以降、この地は長らくイスラム教徒の支配下に入ったため次第に拡張され、数も増えていきました。
最終的にいくつの地下都市が建設されたのかわかっておらず、数百とも数千ともいわれています。
ネヴシェヒルで発見されたのもそうした地下都市のひとつでしたが、探査実験の結果、過去最大規模の大きさであることが明らかになりました。
最深部は地上から113mに達すると見られており、総面積は46ヘクタールで東京ドーム約10個分。
未知の通路や部屋もまだまだたくさんあるようです。
2015年11月下旬に会見を行ったネヴシェヒル州のハッサン・ユンバー知事は、この発見がカッパドキアの歴史を書き換えるだろうと語っています。
「これは多くの人々が永続的に生活をしていた文字通りの地下都市で、これまでに発見されている他の地下都市のように一時的に暮らすための施設ではありません」
さらに、一部の地下構造はヒッタイトの時代(紀元前1500~前1100年前後)にさかのぼる可能性が指摘されており、この場合アナトリアの歴史が見直されることになりそうです。
知事が「世界史的にもきわめて重要な発見だと確信しています」と胸を張るだけありますね。
知事によると、2017年にはその一部を公開する予定であるとのこと。
そして宅地計画を変更し、地下都市を利用した一大テーマパークを建設したいと語っています。
数年後、カッパドキアにまた新たな名所が誕生するかもしれません。
現在公開されているデリンクユやカイマクルでさえ全貌を現していないといわれるうえに、未知の地下都市がまだ数百も眠っていると考えられています。
カッパドキア、本当にワクワクさせてくれますね。
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