15/06/30:古代生物ハルキゲニアの復元像が修正へ - ART+LOGIC=TRAVEL [旅を考えるweb]

世界遺産NEWS 15/06/30:古代生物ハルキゲニアの復元像が修正へ

5億4千万年前、生物が突如急激に多様化して、現在存在する動物門のほとんどが出現します。

この爆発的な生物の広がりを「カンブリア爆発」と呼び、このときから生物が顕(あらわ)れる時代=顕生代(けんせいだい)がはじまります。


顕生代の最初を飾るのが古生代のカンブリア紀で、この時代の代表的な生物群がバージェス動物群と澄江(チェンジャン)動物群です。

実は両者の名前は化石がよく発見される場所にちなんでつけられており、どちらも世界遺産に登録されています。

前者がカナダの「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」登録のバージェス頁岩地帯で、後者が中国の「澄江の化石産地」です。


バージェス動物群と澄江動物群にはいまではとても見られないようなユニークな形をした動物がたくさんいます。

このため「進化の実験場」なんて呼ばれるのですが、バージェス動物群を描いたシカゴのフィールド自然史博物館のアニメーションで確認してみてください。

 

この動画の1分28秒頃、右下から棘のあるヘンテコな動物が歩いてきましたが、わかりましたか?

ハルキゲニアです。

 

この動物、これまでの復元図は上下が逆さで、前後も逆であることが明らかになりました(といっても、上下は以前から間違いではないかと指摘されていたようです)

 

これまでは棘のような部分で歩いていたと考えられていましたが、実は棘は背についており、触手だと思われていた部分が足だったということです。

さらに、頭だと思われていた球形の物質は押しつぶされたときにお尻から飛び出た内臓で、尻尾のような部分が頭であるとのこと。

衝撃的ですね!


下が復元動画です。

かわいいというかなんというか。

 

この事実を明らかにしたのはケンブリッジ大学とカナダ王立オンタリオ博物館の研究チームです。

6月25日、イギリスの科学雑誌 "nature" の電子版でハルキゲニアの頭部構造の詳細を発表しました。


復元の決め手となったのは、尻尾と思われていた場所から発見されたふたつの目と環状の歯。

この原始的な目で周囲を見渡し、口からプランクトンなどを食していたようです。


体調3~5cmほどのこの奇妙な動物、5億500万年前ほどに絶滅したようですが、いまでも棘のような触手を上に伸ばした奇妙な動物は存在します。

↓は2012年にカリフォルニア沖の海底3,300mで発見されたコンドロクラディア・リラです。

 

いやー、すごい!


古代生物に関して、このように定説が覆ることは珍しくはありません。

あの恐竜の王T-REX=ティラノサウルスもカラフルな羽毛でフサフサだったといわれるようになりました。

これまでのイメージとずいぶん異なるティラノサウルス像が広まっています。


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