世界遺産に登録されているローマの円形闘技場=コロッセオで木製巻き上げ装置が復元され、ローマ時代と同様に猛獣が運び出されてコロッセオに放たれました。
現在コロッセオに残っているのは石材だけですが、ローマ時代、中央のフィールド上には木製の床が設けられていて、その上でグラディエーター(剣闘士)同士、グラディエーターVSオオカミやライオン、トラ、バッファローといった猛獣、あるいは猛獣同士の戦いが繰り広げられていました。
今回再現されたのは、当時28あった巻き上げ装置のひとつと、戦いが行われたフィールドの一部です。
床下の檻から猛獣を引き出し、この装置を使って7m上のアリーナへ送り出せるようになっています。
そして6月5日、一匹のオオカミがこの装置に入れられて、1,500年ぶりにコロッセオに猛獣が放たれました。
オオカミが選ばれたのは、オオカミに育てられたロムルスとレムスによって建国されたと伝えられるローマ建国神話へのオマージュです。
そのときの模様がこちら↓。
このプロジェクトを指揮したゲイリー・グラスマンさんはコロッセオについてこう語っています。
「私たちがコロッセオに魅了されるひとつの理由はその残虐性にあります。これほど洗練された文化を持つ彼らが、なぜこれほど血塗られたショーを必要としたのでしょうか?」
カエサル(シーザー)やクラッススとともに第一回三頭政治を行ったポンペイウスは紀元前1世紀、コロッセオに20頭のゾウ、600頭のライオン、410頭のヒョウを投入したと伝えられています。
猛獣はもちろん、こうした猛獣たちと戦って多くの剣闘士が亡くなりました。
「コロッセオがいったいどんなものだったのか、この装置は理解の一助となるでしょう」
ぼくはフォロ・ロマーノをはじめローマの世界遺産登録地が大好きですが、コロッセオもとても印象的でした。
でもこれを見に、また行かなくてはなりませんね。
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