15/03/23:超大潮でモンサンミッシェルが完全な孤島に! - ART+LOGIC=TRAVEL [旅を考えるweb]

世界遺産NEWS 15/03/23:超大潮でモンサンミッシェルが完全な孤島に!

2015年3月21日、世界遺産に登録されているフランスのモンサンミッシェルが完全な孤島になりました。

下は "wochit General News" のニュース映像です。

橋が海に沈んでいるのがわかります。

モンサンミッシェルは孤島に小さな聖堂が建てられた8世紀以来の歴史を誇りますが、干満の差があまりに激しかったため、修道士たちは遺書を書いてから島に渡ったといわれています。

ところが1879年に堤防道路ができて以来、大陸とつながり、半島のようになってしまいました。


さらに、周囲に3本の川があるのですが、堤防道路が潮の流れをせき止めたために川の砂が沖に流されずに堆積。

2m以上も積もった結果、満潮時を除いてモンサンミッシェル周辺は海というより湿地のようになりました。


フランス政府は元の姿に戻すために、2005年から橋の建設を開始。

橋脚はなるべく潮の流れに影響を与えないデザインで、橋全体も周囲の景観を損ねないように設計されました。

そして2014年7月22日、全長760mの橋が開通してモンサンミッシェルはふたたび島になりました。


今回「完全な島」になったといわれるのは、14mという大潮のため橋と島の接続部分が沈んでしまったため。

その結果、モンサンミッシェルは四方を完全に海に閉ざされました。

このような大潮が起こるのは18年に一度のことだそうです。

世界遺産「モンサンミッシェルとその潟」
モンサンミッシェルの堤防道路。現在この堤防は取り払われており、駐車場も大陸側に移動している

少しこの特別な大潮を解説してみましょう。


潮の満ち引きは太陽の引力、月の引力、地球の遠心力の3つの関係で起こります。

月単位で見ると、太陽と地球と月が一直線に並ぶ新月と満月の日は大潮といってもっとも干満の差が激しくなります。

太陽-月-地球と並ぶのが新月で、月は太陽の裏側を見せるため真っ暗になります。

太陽-地球-月と並ぶのが満月で、月は太陽にあたる側を地球に見せるために満月になるわけです。


3月20日は新月でしたが、いつもより月が地球に接近していたうえに、太陽と月が完全に重なる皆既日食が起こりました。

実際には水の移動や粘性の関係で1~2日ほどずれることがあり、大潮のピークは20~21日になったようです。


さらに、春分と秋分の日、つまり太陽が地球の赤道上に来るときに大潮は1年でもっとも高くなります。

地球の自転による遠心力と重なるためで、この春分の日が3月21日でした。

大潮、月の軌道、皆既日食、春分の日……こうした天体現象が重なってこの日の奇跡を生み出したようです。


完全な島になるモンサンミッシェル。

いつか私も見てみたいと思います!


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