海外集計の世界遺産ランキング - ART+LOGIC=TRAVEL [旅を考えるweb]

世界遺産ランキング集4.海外集計の世界遺産ランキング

<海外で集計された世界遺産ランキング>

■AskMen 世界遺産トップ・テン、Explorra 世界遺産トップ・テン

いきなり種明かしするようでナンですが、海外の世界遺産ランキングも日本のものとあまり変わりません。

桁外れの世界遺産というのは人知を超えているという点で世界共通なのでしょう。

 

まずは2件のランキングを紹介します。
1,500万の読者がいるというカナダの "AskMen" というサイトと、世界中の旅行情報を発信している "Explorra" の「世界遺産トップ・テン」です。

いずれも編集者の選で、ある程度旅行慣れしており、知識もある人が選んだんだろうなということがわかるランキングです。

 

○AskMen 世界遺産トップ・テン Top 10: World Heritage Sites

 ※2012年、AskMen選定

 ※元記事

1. ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群(イギリス)

2. 古代都市チチェン・イッツァ(メキシコ)

3. エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダン申請)

4. ラパ・ヌイ国立公園(チリ)※イースター島

5. バチカン市国(バチカン市国)

6. メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯(エジプト)

7. サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群(ロシア)

8. エバーグレーズ国立公園(アメリカ)

9. グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(スペイン)

10.パリのセーヌ河岸(フランス)


○Explorra 世界遺産トップ・テン Top 10 World Heritage Sites

 ※2010年、Explorra選定

 ※元記事

上のふたつ、そっくりです。

この中でぼくのいち押しはグアテマラのティカルです。

ジャングルからマヤのピラミッドがニョキニョキ突き出す姿は本当に神秘的です。

 

* * *

 

■Lonely Planet's Ultimate Travelist

続いて、世界最大の旅行ガイドブック『ロンリープラネット』が2015年8月に発表した "Lonely Planet's Ultimate Travelist" から上位20件を紹介しましょう。

こちらは世界トップ500サイトをロンリープラネットのコミュニティに集う究極の旅人たちがランキングしたもので、インパクトの大きな場所が選ばれています。

旅行先選びにはピッタリかもしれません。

世界遺産に限定したものではありませんが、その多くが世界遺産リストに登録されています。


Lonely Planet's Ultimate Travelist

 ※2015年、ロンリープラネット選定

 ※元記事

  1. アンコール寺院[アンコール](カンボジア)
  2. グレート・バリア・リーフ[グレート・バリア・リーフ](オーストラリア)
  3. マチュピチュ[マチュピチュの歴史保護区](ペルー)
  4. 中国の万里の長城[万里の長城](中国)
  5. タージ・マハル[タージ・マハル](インド)
  6. グランドキャニオン国立公園[グランドキャニオン国立公園](アメリカ)
  7. コロッセオ[ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂](イタリア)
  8. イグアスの滝[イグアス国立公園](アルゼンチン/ブラジル)
  9. アルハンブラ[グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区](スペイン)
  10. アヤソフィア[イスタンブール歴史地域](トルコ)
  11. フェズのメディナ(モロッコ)
  12. グレートオーシャンロードの十二使徒(オーストラリア)
  13. ペトラ[ペトラ](ヨルダン)
  14. ティカル[ティカル国立公園](グアテマラ)
  15. 大英博物館(イギリス)
  16. サグラダ・ファミリア[アントニ・ガウディの作品群](スペイン)
  17. フィヨルドランド国立公園[テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド](ニュージーランド)
  18. サントリーニ島(ギリシア)
  19. ガラパゴス諸島[ガラパゴス諸島](エクアドル)
  20. MONA オールド・アンド・ニュー・アート美術館(オーストラリア) 

 

* * *

 

■スミソニアン・ライフ・リスト-死ぬまでに見たい28の場所

次は世界の美に関する権威と、地球地理の権威であるふたつの雑誌・協会の世界遺産ランキング(セレクション)を紹介しましょう。


ひとつ目はスミソニアン博物館を運営するスミソニアン協会。

その機関誌『月刊スミソニアン・マガジン』の2008年1月号で「スミソニアン・ライフ・リスト-死ぬまでに見たい28の場所 "The Smithsonian Life List 28 Places to See Before You Die"」という特集を組んでいました。


世界中の美を知り尽くしたスミソニアンのメンバーが選び抜いたというだけあって注目です。

世界遺産に限っているわけではありませんし、順位もついていませんが、7分野・各4件・計28件を紹介しましょう。

この内容、とても共感できます!

 

なお、世界遺産については[ ]内に世界遺産名を入れました。

それがないものは世界遺産ではありません。

 

○スミソニアン・ライフ・リスト-死ぬまでに見たい28の場所

 ※2008年、スミソニアン協会による選出

 ※元記事

ー過去への入り口 Portals into the Past

 ※過去の記憶をとどめる建物

工学上の偉業 Feats of Engineering

 ※工学的に偉大な建物

瞬間の出来事 A Matter of Timing

 ※ドラマティックな瞬間を演出する物件

想像力の勝利 Triumphs of Vision

 ※アート性の高い建物

スケールの絶頂 Scale New Heights

 ※人類を圧倒する自然景観

神々を宿す In the Presence of Gods

 ※神々を祀る神殿や寺院

明日には消滅? Here Today, Gone Tomorrow?

 ※消滅の危機にある遺産

いやー、いいですね、上のセレクション。

京都の庭園とかバガンとか、大好きです。

京都の庭園だったら西芳寺とか龍安寺、世界遺産ではありませんが東福寺なんか最高です!

 

* * *

 

■ナショナルジオグラフィック 最高・最悪の世界遺産サイト

世界中の文化遺産や自然遺産を調査・研究しているあの『ナショナルジオグラフィック』の発行者、ナショナルジオグラフィック協会も2006年に「最高・最悪の世界遺産サイト Best, Worst World Heritage Sites Ranked」を発表しています。

 

100件弱の世界遺産について419人の専門家が評価したそうですが、順位は他のランキングとまったく違っています。

世界遺産そのもののおもしろさ・驚き・価値はもちろん、インフラや治安・ホスピタリティ、保護体制までが考慮されているようです。

そのせいなのか、たとえばアンコール、ヴェネツィア、ラサ、ガラパゴスといった上位常連の世界遺産が「最悪」の評価で驚きです。

 

評価のよくない有名どころのコメントを見てみると、マチュピチュは「観光客の列さえなければ最高に美しい」、ナスカは「地上絵のラインが車で消されつつある」、ギザのピラミッドは「土産物売りがウザい」、ラサは「魂の国は残っていない。チベット文化は消え、仏具店は土産物屋に代わった」、ヴェネツィアは「水質汚濁や水位上昇による水浸し等の問題があるし、観光客ばかりで博物館のよう」といった具合。

英語ですが、興味がある人は元記事を参照してみてください。

 

なお、下記は2006年時点のデータによるもの。

順位の付け方がちょっとおかしい気もしますが、元記事そのままです。


○最高・最悪の世界遺産サイト

 ※2006年、ナショナルジオグラフィック協会による選出

 ※元記事PDF

最高の目的地 BEST- RATED DESTINATIONS

1. 西ノルウェーフィヨルド群-ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルド(ノルウェー)

2. グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(スペイン)

2. ヴェズレーの教会と丘(フランス)

3. テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド(ニュージーランド)

4. 歴史都市グアナファトとその銀鉱群(メキシコ)

4. コルドバ歴史地区(スペイン)

5. バース市街(イギリス)

5. エヴォラ歴史地区(ポルトガル)

よい目的地 DESTINATIONS DOING WELL

6. ザルツブルク市街の歴史地区(オーストリア)

6. ヴェルサイユの宮殿と庭園(フランス)

6. ケベック旧市街の歴史地区(カナダ)

6. シエナ歴史地区(イタリア)

7. ブルッヘ(ブルージュ)歴史地区(ベルギー)

7. スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチ(スイス)

7. パリのセーヌ河岸(フランス)

8. シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷(フランス)

8. アヴィニョン歴史地区:法王庁宮殿、司教関連建造物群及びアヴィニョン橋(フランス)

8. アッシジ、サン・フランチェスコ聖堂と関連遺跡群(イタリア)

8. ウルル・カタ・ジュタ国立公園(オーストラリア)

9. 古都京都の文化財(日本)

9. ライン渓谷中流上部(ドイツ)

10.ブリッゲン(ノルウェー)

10.デルフィの考古遺跡(ギリシア)

10.ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園(アメリカ/カナダ)

10.クラクフ歴史地区(ポーランド)

11.グレーター・ブルー・マウンテンズ地域(オーストラリア)

11.アマルフィ海岸(イタリア)

12.ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区及びアンドラーシ通り(ハンガリー)

12.パンタナール保全地域(ブラジル)

13.ポルトヴェネーレ、チンクエ・テッレ及び小島群[パルマリア、ティーノ及びティネット島](イタリア)

13.ドーセット及び東デヴォン海岸(イギリス)

14.プエルト・リコのラ・フォルタレサとサン・ファン国定史跡(アメリカ)

14.マサダ(イスラエル)

14.ラパ・ヌイ国立公園(チリ)※イースター島

14.オアハカ歴史地区とモンテ・アルバンの考古遺跡(メキシコ)

15.ドゥブロヴニク旧市街(クロアチア)

15.リガ歴史地区(ラトビア)

15.古代都市アレッポ(シリア)

まぁまぁな目的地 DESTINATIONS RATED SO- SO

16.エローラ石窟群(インド)

16.ケープ植物区保護地域群(南アフリカ)

16.サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群(ロシア)

17.秦の始皇陵(中国)

17.歴史都市トレド(スペイン)

17.バルデス半島(アルゼンチン)

17.古代都市シギリヤ(スリランカ)

18.プラハ歴史地区(チェコ)

18.ケルン大聖堂(ドイツ)

18.フィレンツェ歴史地区(イタリア)

18.ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群(トルコ)

19.モシ・オ・トゥニャ/ヴィクトリアの滝(ザンビア/ジンバブエ)

19.グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)

20.マラケシュのメディナ(モロッコ)

20.ロードス島の中世都市(ギリシア)

20.プエブロ・デ・タオス(アメリカ)

20.スプリットの史跡群とディオクレティアヌス宮殿(クロアチア)

21.モン=サン=ミシェルとその湾(フランス)

21.ブウィンディ原生国立公園(ウガンダ)

22.セレンゲティ国立公園(タンザニア)

22.コパンのマヤ遺跡(ホンジュラス)

22.イグアス国立公園(アルゼンチン/ブラジル)

22.シントラの文化的景観(ポルトガル)

22.カルタゴの考古遺跡(チュニジア)

22.サルバドール・デ・バイア歴史地区(ブラジル)

23.蘇州古典園林(中国)

23.ピトンズ・マネジメント・エリア(セントルシア)

23.ペトラ(ヨルダン)

24.キリマンジャロ国立公園(タンザニア)

24.モスタル旧市街の古橋地区(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

問題のある目的地 DESTINATIONS IN TROUBLE

25.古代都市テーベとその墓地遺跡(エジプト)

25.シアン・カアン(メキシコ)

25.ボロブドゥール寺院遺跡群(インドネシア)

26.オールド・ハバナとその要塞群(キューバ)

26.ザンジバル島のストーンタウン(タンザニア)

27.タージ・マハル、アグラ城塞、ファテープル・シークリー(インド)※世界遺産3件

27.ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群(イギリス)

27.万里の長城(中国)

28.クスコ市街マチュピチュの歴史保護区(ペルー)※世界遺産2件

28.エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダン申請)

29.アテネのアクロポリス(ギリシア)

29.古代都市チチェン・イッツァ(メキシコ)

29.カイロ歴史地区(エジプト)

30.植民都市サント・ドミンゴ(ドミニカ共和国)

30.ナスカとパルパの地上絵(ペルー)

30.麗江旧市街、雲南三江併流の保護地域群(中国)※世界遺産2件

31.メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯(エジプト)

31.ハロン湾=カット・バー群島(ベトナム)

最悪の目的地 WORST- RATED DESTINATIONS

32.アンコール(カンボジア)

32.ラリベラの岩窟教会群(エチオピア)

33.ベリーズ・バリア・リーフ保護区(ベリーズ)

34.ラサのポタラ宮歴史地区(中国)

34.ヴェネツィアとその潟(イタリア)

35.ガラパゴス諸島(エクアドル)

36.パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ(パナマ)

37.カトマンズの谷(ネパール)

 

いや-、すごいランキングですね。

アンコールが「最悪」ですか。

たしかにバイタクに騙されたとか、土産物屋がウザイとか、身体が不自由な方による物乞い問題とかありました。

起点となるシェムリアップを除けば周囲は貧しい村々なので、スラム化や無規律な都市拡散、経済格差、公害なんかの問題の最前線でもあるわけです。

 

でも、それを見るのもいいことだと思うのですよね。

私はアンコール郊外でバイクが故障して何キロも歩くハメになりましたが、おかげで村々の様子がよく見れてとてもよかったです。

すごく美しい村でしたが、月の世帯収入は3千円以下。

アンコール周辺の物乞いとか小学生の土産物売りですらその数倍を稼ぐそうです。

 

ヴェネツィアは、高潮で街が海に飲まれる「アクア・アルタ」が問題になっています。

私が訪れたときもアクア・アルタが起きて、サン・マルコ広場や周辺のレストランやお土産物屋は水浸しでした。

ビックリしましたがいい思い出です。

 

カトマンズやラサは指摘されている通り、急速に都市化が進んでいます。

特にラサは3つの建物が世界遺産に登録されているのですが、その周囲の歴史的な街並みが変化していくのはとても寂しいですね。

カトマンズはそれでもまだ地域が世界遺産に登録されているので、そこだけは守られています。

このランキングは、そうした保護状況なんかが強く反映しているのですね。

 

でも、それって世界遺産そのものと関係ないし、そんなこと言い出したらキリがない気も……。

 

まぁでもこうしたランキングをきっかけに世界遺産に興味を持ち、世界遺産に興味を持つことで世界や自分に興味を持ち……なんていうのも悪くはないのかも知れませんね。

世界遺産の見方については下記で触れているのでよろしければ参照してみてください。

 

[関連記事]

世界遺産の見方 1.知性的鑑賞法

世界遺産の見方 2.感性的鑑賞法

 

次回は世界遺産の国別ランキングです。

 



 

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