世界遺産NEWS 26/07/28:速報! 2026年新登録の世界遺産!!
韓国の釜山にて7月19~29日の日程で開催されている第48回世界遺産委員会ですが、新登録物件の審議が終わったようなので新しい世界遺産を速報でお伝えします。
新登録の世界遺産は計25件で、文化遺産19件、自然遺産5件、複合遺産1件です。
世界遺産登録と同等の手続きが必要となる「重大な変更」については3件が承認されています。
これで世界遺産の総数は1,273件となり、文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件となりました。
危機遺産については、新規の危機遺産リスト入りが6件、解除された物件が1件で、計58件となっています。
日本の物件としては、27件目の世界遺産として「飛鳥・藤原の宮都」が登録されました。
関係者のみなさま、おめでとうございます!
速報なので、万一追加や間違い等が確認された場合は随時修正します。
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毎年恒例の世界遺産委員会ですが、今年は7月19~29日の日程で韓国の釜山にて第48回が開催されています。
世界遺産委員会の21委員国は以下となっています。
○世界遺産委員会構成国
- 議長国:韓国
- 書記国:ジャマイカ
- 副議長国:ウクライナ、トルコ、レバノン、ジャマイカ、セネガル
- 委員国:ウクライナ、スイス、チェコ、トルコ、ポーランド、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、韓国、クウェート、バングラデシュ、ベトナム、モンゴル、レバノン、グレナダ、ジャマイカ、ペルー、ケニア、セネガル、タンザニア、トーゴ
本年の新登録の世界遺産は計25件で、文化遺産19件、自然遺産5件、複合遺産1件です。
世界遺産登録と同等の手続きが必要となる「重大な変更」については3件が承認されています。
これで世界遺産の総数は1,273件となり、文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件となりました。
日本の物件としては「飛鳥・藤原の宮都」が登録されました。
また、アフリカのコモロ連合、サントメ・プリンシペ、南スーダンにはじめての世界遺産が誕生しています。
これで世界遺産条約締約国196か国中、世界遺産を持たない国は23か国となりました。
危機遺産リストについて、新規のリスト入りは6件で、リストからの解除が1件です。
これで危機遺産は計58件となっています。
危機遺産についてはその概要を紹介します。
なお、下に出てくる「緊急的登録推薦」とは、顕著な普遍的価値が明白で、価値喪失の危機に直面した暫定リスト記載物件を、手順を短縮して緊急的に推薦することを意味します。
緊急的登録推薦で登録が決定した場合、その物件は世界遺産リストへの登録と同時に、危機遺産リストへも記載されることになります。
<新たに危機遺産リストに搭載された物件6件>
■古代都市タウリカ・ヘルソネソスとそのホーラ
ウクライナ、2013年、文化遺産(ii)(v)
ロシアの占領下にあるクリミア半島の物件で、ウクライナはもちろんUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)やICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)等の諮問機関も現地調査や管理・保全ができず、衛星写真を用いて監視が行われています。その結果、ロシアが無許可で遺跡を開発し、新ヘルソネソスなる歴史公園を建設中であることが明らかになり、一部の遺物が運び出されるなど顕著な普遍的価値に著しい影響を与えている事実が確認されました。また、軍事的利用やドローンによる近隣被害などもあり、リスト入りが決定しました。
■フェニキア都市ティルス
レバノン、1984年、文化遺産(iii)(vi)
イスラエルの攻撃が遺産の内部や周辺に及んでおり、一部ではブルドーザーによる破壊行為も報告されています。深刻な軍事的脅威にさらされているだけでなく、紛争の激化を受けて管理・保全・修復さえ困難な状況となっています。これを受けてレバノン政府が保護強化を目的にリスト登録を申請し、世界遺産委員会に承認されました。
■パラマリボ市街歴史地区
スリナム、2002年、文化遺産(ii)(iv)
過去の世界遺産委員会やICOMOSによる再三の勧告にも関わらず、遺産周辺において国会議事堂や駐車場、12~13階建ての高層ビルなどの大規模建設プロジェクトが進行中で、一部では建設が強行されています。これにより顕著な普遍的価値が不可逆的な影響を受ける危機に直面しているとしてリスト入りが決定しました。
■セバスティア ※緊急的登録推薦
パレスチナ、2026年、文化遺産(iii)
紀元前9世紀から続く歴史都市で、ヘレニズム、ローマ、ビザンツ、十字軍、オスマン帝国をはじめ多彩な文化の重層的な遺構を伝えています。ただ、イスラエルがその西側部分を接収してショムロン国立公園として開発する計画を立てており、パレスチナは遺跡が分断されて不可逆的な被害を被るリスクを訴えています。実際、イスラエルは各地で分離壁の新設・延長と周辺開発を強化しており、問題が拡大しています。
■アメル山の城砦群 ※緊急的登録推薦
レバノン、2026年、文化遺産(ii)(iv)
2026年6月23日に緊急推薦されたばかりの物件。ビザンツ、十字軍、アイユーブ朝、マムルーク朝など西アジアと欧州の要塞建築の多彩な展開を示す遺跡で、5つの城砦を構成資産としています。ただ、イスラエルによる攻撃を受けてカラット・シャマなど一部の城砦で被害が確認されており、また戦略的な場所に位置していることから危機的な状況にあるとして緊急推薦に至りました。ICOMOSによる現地調査や顕著な普遍的価値の証明がなされていないことから反対意見も出ましたが、登録が決まっています。
■ボマ=バディンギロの動物移動の景観 ※緊急的登録推薦
南スーダン、2026年、自然遺産(vii)(ix)(x)
シロミミコーブ、モンガラガゼル、ティアンをはじめとする約600万頭もの哺乳動物の季節移動を支え、渡り鳥の重要な渡りルートでもある生態系で、他にもアフリカゾウやライオン、チーターなど絶滅が危惧されている数多くの野生動物が生息しています。2023~24年の航空調査によって重要性が明らかになった遺産ですが、密猟や野生生物の違法取引、地域紛争、道路やパイプライン等のインフラ開発、資源採掘といった危機に直面しており、南スーダン政府は至急の国際協力を求めて緊急的登録推薦を行いました。
<危機遺産リストから解除された物件1件>
■ウィーン歴史地区
オーストリア、2001年、文化遺産(ii)(iv)(vi)、危機遺産登録2017年
ウィーン中央駅やカールスプラッツ地区などで進められている建築プロジェクトが遺産のスカイライン(山々や木々などの自然や建造物が空に描く輪郭線)を毀損し、顕著な普遍的価値に不可逆的な影響を与えるとのことで2017年にリスト入りしました。これに対して国と市は、建物の高さを下げるとともに法改正で規制を強化、世界遺産オフィスを設立し、管理計画を適正化するなどの対策を行い、これらが評価されて解除が決定しました。
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日本の物件としては27件目の世界遺産、22件目の文化遺産として「飛鳥・藤原の宮都」が登録されています。
文化庁の報道資料からその概要を抜粋しましょう。
<「飛鳥・藤原の宮都」について>
○名称
「飛鳥・藤原の宮都(あすか・ふじわらのきゅうと)」
Ancient Capitals of Asuka and Fujiwara
○記載の可否と評価基準
「飛鳥・藤原の宮都」を,評価基準(ⅱ)及び(ⅲ)に基づいて世界遺産一覧表に記載する。
- 登録基準(ii):重要な文化交流の跡:中国大陸や朝鮮半島との交流と仏教伝来を示し、後代にも大きな文化的影響を与えた
- 登録基準(iii):文化・文明の稀有な証拠:中央集権体制を基盤とした東アジアの古代宮都の形成過程を、飛鳥宮、藤原宮等の立地・レイアウト・関係性・構成の変遷から示す重要な物証である
○勧告
締約国が以下を考慮することを併せて勧告する。
- a)大和三山の藤原京の場所選択における重要性が、インタープリテーション計画において認識され、重要な視覚軸が視界範囲分析と遺産影響評価によって守られることを確実にすること、
- b)キトラ古墳及び高松塚古墳より取り外された重要な壁画の保存及び原位置復帰に関する科学的研究を継続すること、
- c)藤原宮跡の史跡指定のできるだけ早い完遂のために、必要な協議プロセスを継続すること、
- d)シリアル資産全体の具体的なリスクへの備え及び危機対応戦略を策定し、管理システムを通じて実行すること、
- e)近傍の交通がその保存に影響を与え得る資産について、振動を監視すること、
- f)すでにあるインタープリテーション戦略を基に、実施方針・計画をさらに改善し実行すること、
- g)地元住民及び社寺の利用者の権利が、どのように管理計画に効果的に組み込まれるのか明確にすること
○構成資産 19件
・飛鳥の宮都
1. 飛鳥宮跡(明日香村)
2. 飛鳥京跡苑池(明日香村)
3. 飛鳥水落遺跡(明日香村)
4. 酒船石遺跡(明日香村)
5. 飛鳥寺跡(明日香村)
6. 橘寺跡(明日香村)
7. 山田寺跡(桜井市)
8. 川原寺跡(明日香村)
9. 檜隈寺跡(明日香村)
10. 石舞台古墳(明日香村)
11. 菖蒲池古墳(橿原市)
12. 牽牛子塚古墳(明日香村)
・藤原の宮都
13. 藤原宮跡(橿原市)
14. 大官大寺跡(橿原市・明日香村)
15. 本薬師寺跡(橿原市)
16. 天武・持統天皇陵古墳(明日香村)
17. 中尾山古墳(明日香村)
18. キトラ古墳(明日香村)
19. 高松塚古墳(明日香村)
[関連サイト&記事]
世界遺産NEWS 23/07/06:彦根城はプレリミナリー・アセスメントを活用、飛鳥・藤原は推薦延期へ
世界遺産NEWS 24/09/09:文化審議会、2026年の世界遺産登録を目指し「飛鳥・藤原の宮都」を推薦候補に選定
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それでは新登録の世界遺産の一覧です。
掲載の順番は、文化遺産→自然遺産→複合遺産で、それぞれトランスナショナル・サイト/トランスバウンダリー・サイト(複数国に資産を有する物件)→ヨーロッパ→アジア→オセアニア→北アメリカ→南アメリカ→アフリカ、さらに国別五十音順→世界遺産名五十音順です。
また、これらの後に「重大な変更」が認められた物件を記載しています。
後日、「軽微な変更」や名称変更の物件も追加する予定です。
日本語名は私が適当に訳したもので、正式な名称は英語の表記になります。
世界遺産英名の下に記載したのは所属国と登録基準です。
登録勧告以外からの逆転登録についてはその旨を表記しました。
何も書かれていなければ登録勧告からの登録決定です。
<文化遺産19件>
■イタリア中部の18世紀及び19世紀イタリア式コンドミニオ劇場システム
The system of Italian-style condominio theatres of the 18th and 19th centuries in Central Italy
イタリア、文化遺産(iii)
※登録延期勧告からの逆転
■アールトの作品群
Aalto Works
フィンランド、文化遺産(ii)
■ノルマンディーのD-デイ・上陸作戦海岸群、1944年
Beaches of the D-Day Landings, Normandy, 1944
フランス、文化遺産(vi)
■ラングドックのカペー朝王家要塞群
Royal Capetian Fortresses of Languedoc
フランス、文化遺産(iv)
■グディニャのモダニズム都市中心部
Gdynia Modernist City Centre
ポーランド、文化遺産(iv)
※情報照会勧告からの逆転
■アラムート城と関連の城砦群
Alamūt Castle and Related Fortifications
イラン、文化遺産(iii)
■サールナートの古代仏教遺跡
Ancient Buddhist Site of Sarnath
インド、文化遺産(iii)(vi)
■タシケントのモダニズム建築:中央アジアの現代性と伝統
Tashkent Modernist Architecture. Modernity and Tradition in Central Asia
ウズベキスタン、文化遺産(iv)
■マンギスタウの岩窟モスク群及び関連の聖域群
Rock Mosques and Associated Sacred Sites of Mangystau
カザフスタン、文化遺産(ii)(iii)(vi)
■ナコーンシータンマラートのワット・プラ・マハタート・ウォラマハーウィハーン
Wat Phra Mahathat Woramahawihan, Nakhon Si Thammarat
タイ、文化遺産(ii)(vi)
■景徳鎮の手工芸磁器産業遺跡群
Jingdezhen Handicraft Porcelain Industry Sites
中国、文化遺産(ii)(iii)(iv)(vi)
■飛鳥・藤原の宮都
Ancient Capitals of Asuka and Fujiwara
日本、文化遺産(ii)(iii)
■セバスティア
Sebastia
パレスチナ、文化遺産(iii)
※緊急的登録推薦による物件
■匈奴貴族の墓地複合遺跡群
The Cemetery Complexes of the Xiongnu Nobility
モンゴル、文化遺産(iii)
■アメル山の城砦群
Mount Amel Castles
レバノン、文化遺産(ii)(iv)
※緊急的登録推薦による物件
■アマゾニア劇場群
Amazonia Theaters
ブラジル、文化遺産(ii)(iv)
■コモロの歴史的スルタン諸国のメディナ群
The Medinas of the Historic Sultanates of the Comoros
コモロ連合、文化遺産(iii)(iv)
■サントメ・プリンシペのロサ群:植民地農業システムと強制移住
The Roças of Sao Tome and Principe: Colonial Agricultural System and Forced Migration
サントメ・プリンシペ、文化遺産(iv)
※情報照会勧告からの逆転
■シディ・ブ・サイドの村
Village of Sidi Bou Saïd
チュニジア、文化遺産(iii)
<自然遺産5件>
■リムフィヨルド西部の硬骨魚類化石地帯-始新世最初期の進化と気候適応
The Bony Fish Fossils of the Western Limfjord – Evolution and Climate Adaptation in the Earliest Eocene
デンマーク、自然遺産(viii)
■ワディ・ウラヤ
Wadi Wurayah
アラブ首長国連邦、自然遺産(ix)
※登録延期勧告からの逆転
■アカバ海洋保護区
Aqaba Marine Reserve
ヨルダン、自然遺産(ix)(x)
■オケフェノキー国立野生生物保護区
Okefenokee National Wildlife Refuge
アメリカ、自然遺産(ix)(x)
■ボマ=バディンギロの動物移動の景観
Boma–Badingilo Migratory Landscape
南スーダン、自然遺産(vii)(ix)(x)
※緊急的登録推薦による物件
<複合遺産1件>
■オリンポス山の広域
The wider area of Mount Olympus
ギリシア、文化遺産(vi)、自然遺産(x)
※文化遺産・自然遺産とも情報照会勧告からの逆転
<重大な変更3件>
■ベルリンのモダニズム集合住宅群
Berlin Modernism Housing Estates
ドイツ、文化遺産(ii)(iv)
※世界遺産「ベルリンのモダニズム集合住宅群(ドイツ、2008年、文化遺産(ii)(iv))」の範囲拡大でヴァルトジードルング・ツェーレンドルフを追加
■ゲボル、韓国の干潟[フェイズ2]
Getbol, Korean Tidal Flats (Phase II)
韓国、自然遺産(x)
※世界遺産「ゲボル、韓国の干潟(韓国、2021年、自然遺産(x))」の範囲拡大
■ガランバ国立公園
Garamba National Park
コンゴ民主共和国、自然遺産(ix)(x)
※世界遺産「ガランバ国立公園(コンゴ民主共和国、1980年、自然遺産(vii)(x))」の再推薦で、遺産を特徴付けるキタシロサイが絶滅するなど顕著な普遍的価値が揺らいだため、新たな登録基準で価値が認められました
なお、来年2027年の世界遺産候補地については下にリンクを張った「世界遺産NEWS 26/06/07:2027年の世界遺産候補地」を参照ください。
[関連記事&サイト]
48th session of the World Heritage Committee(UNESCO)
世界遺産NEWS 26/06/07:2027年の世界遺産候補地(来年の世界遺産候補地)
世界遺産NEWS 26/06/06:2026年の世界遺産候補地と勧告結果(事前の勧告結果)
世界遺産NEWS 25/07/14:速報! 2025年新登録の世界遺産!!(前回)
※いずれもさらに以前の関連記事へリンクあり
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