世界遺産NEWS 17/03/12:奄美群島国立公園が誕生
環境省は3月7日、「奄美群島国立公園」の指定を発表しました。
これにより「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産登録が一歩前進しました。
今回はこのニュースをお伝えします。
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政府は2018年の世界遺産登録を目指して、今年2月1日までに下記2件の推薦書をUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)の世界遺産センターに提出しています。
■2018年第42回世界遺産委員会推薦物件
- 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(熊本県、長崎県)
- 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(沖縄県、鹿児島県)
世界遺産リストに推薦する物件は国内法によって保護されている必要があるのですが、日本では主に文化遺産については文化財保護法、自然遺産については自然公園法がその役を担っています(他の法律・条例が適用される場合もあります)。
そして自然公園法は下記3種の自然公園を定めています。
■自然公園の種類
- 国立公園
日本の景観を代表するとともに、世界的にも誇りうる傑出した自然の風景で、環境大臣が指定して国が管理・保護する
- 国定公園
国立公園の景観に準ずる傑出した自然の風景で、環境大臣が指定して都道府県が管理・保護する
- 都道府県立自然公園
国定公園の景観に準ずる自然の風景で、都道府県知事が指定して都道府県が管理・保護する
環境省は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」全域の国立公園化を進めていたのですが、もともと西表島の推薦地域は西表石垣国立公園に指定されていて、2016年9月には沖縄島北部の推薦地域をやんばる国立公園に指定しました。
今回、34番目の国立公園となる「奄美群島国立公園」が誕生したことで、これまで国定公園(奄美群島国定公園)だった奄美大島と徳之島の推薦地域も国立公園になりました。
国立公園の概要は以下となっています。
環境省の公式サイトから抜粋しましょう(下にリンクあり)。
■奄美群島国立公園の概要
- テーマ:生命にぎわう亜熱帯のシマ ~森と海と島人の暮らし~
- 指定:平成29年3月7日
- 面積:陸域42,181ha、海域33,082ha
- 主な島:鹿児島県の奄美大島、徳之島、喜界島、沖永良部島、与論島など
奄美群島国立公園は、鹿児島県の南部に位置し、平成29年3月7日に国内34カ所目の国立公園として指定されました。国内最大規模の亜熱帯照葉樹林が広がるとともに、大陸や日本本土との分離・結合を繰り返した島々の地史を背景に、アマミノクロウサギをはじめとする多種多様な固有で希少な動植物が生息・生育し、世界有数の速度で今も隆起するサンゴ礁段丘、琉球石灰岩の海食崖やカルスト地形、世界的北限に位置するサンゴ礁、マングローブや干潟等多様な自然環境を有する地域です。また、このような自然環境の中での日々の暮らしで育まれてきた伝統的な人文景観も特長的です。
これにより、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の完全性(顕著な普遍的価値を構成する要素をすべて含み、保護のための法体制や適切な大きさなどが確保されていること)が前進し、登録に一歩近づいたことになります。
■「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」構成資産
- 奄美大島:奄美群島国立公園(鹿児島県奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町)
- 徳之島:奄美群島国立公園(鹿児島県徳之島町、天城町、伊仙町)
- 沖縄島北部:やんばる国立公園(沖縄県国頭村、大宜味村、東村)
- 西表島:西表石垣国立公園(沖縄県竹富町)
今後の予定は以下のようになっています。
■今後のスケジュール
- 2017年
夏:IUCN(国際自然保護連合)が現地調査
- 2018年
4~5月:IUCNが評価報告書を世界遺産センターへ提出(勧告等を発表)
6~7月:第42回世界遺産委員会で世界遺産リストへの登録可否が決定
2011年の「小笠原諸島」以来となる自然遺産の誕生は実現するでしょうか?
楽しみですね!
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