世界遺産NEWS 16/12/27:世界遺産ラスコー展と4つのラスコー洞窟

今年11月1日から東京上野の国立科学博物館で「世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~」が開催されています。

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』にも登場して話題になりましたね。

実は12月中旬、フランスでは新たなレプリカ洞窟「ラスコー4」がオープンしてこちらも話題になっています。

 

今回はこれらを含む4つのラスコー洞窟を紹介しましょう。

 

* * *

フランス南西部にはネアンデルタール人やクロマニヨン人が描いたと考えられている多くの洞窟壁画が残されています。

前者によって築かれた文化をムスティエ文化、後者をオーリニャック文化と呼ぶのですが、これらの文化は紀元前35,000年前後に引き継がれたと考えられています。

そしてオーリニャック文化を皮切りに後期旧石器時代がはじまり、人類の歴史が切り開かれていくのです。

 

これらの時代に関係するフランスの世界遺産として以下2件があげられます。

・アルデッシュ、ショーヴェ・ポンダルク洞窟壁画

・ヴェゼール渓谷の先史時代史跡群と洞窟壁画群

 

こうした洞窟群の中でもっとも有名なのがヴェゼール渓谷のラスコー洞窟でしょう。

「先史時代のシスティーナ礼拝堂」と異名をとる動物たちの力強い絵は美的にきわめてすぐれているだけでなく、当時の文化や技術を伝え、絶滅してしまったバイソンをはじめとする失われた生態系をも明らかにするなど多方面から価値が認められています。

 

この洞窟は1940年に4人の少年によって偶然発見されました。

その後、一般に公開されていたのですが、取り付けられた照明や観光客がもたらす呼気などによって洞窟内の環境が大きく変質し、壁画は急速に劣化してしまいました。

 

1963年には壁画に青カビが生えたということで公開は中止。

以後、現在に至るまで環境の安定化が図られていますが、2007年に新たな細菌が発見されるなど、完全なコントロールには至っていないようです。

立ち入りは修復や学術調査を除いて禁じられ、観光客が見学することのできない幻の世界遺産になってしまいました。

 

その代わり、フランス政府は200mほど離れた場所に洞窟の90%を再現したレプリカ洞窟を建設し、1983年にオープンさせました。

これが「ラスコー2」です。

オリジナルを「ラスコー1」として数えているようですね。

ちなみに、同じフランスのショーヴェ洞窟やスペインのアルタミラ洞窟などもこれにならって周辺にレプリカ洞窟をオープンさせています。

 

さらに、2012年にはラスコーのハイライト部分の壁画を集めたレプリカ洞窟「ラスコー3」が公開されました。

こちらはレーザー測量によってミリ単位まで正確に再現された壁画や3D展示などの豊富なアトラクションを備えているだけでなく、移動式である点が特徴で、すでにフランス、カナダ、アメリカなどを巡回しています。

実は、今回日本にやってきているのもこのラスコー3です。

 

そして2016年12月10日、フランスのドルドーニュ地方にオランド大統領が「単なるコピーなどではなく芸術作品だ」と胸を張る「ラスコー4」がオープンしました。

モンティニャック・ラスコー国際洞窟壁画芸術センターに建設されたレプリカ洞窟では全長150mのラスコー洞窟を原寸大で100%余すところなく再現しています。

壁画はオリジナルよりも見やすくリアルだと言われており、これを受けてオランド大統領が「芸術作品」と称賛したものと思われます。

* * *

 

ラスコー洞窟は死海やピラミッドと並んでぼくが子供の頃から憧れていた場所のひとつです。

オリジナルを目にするのは難しそうですが、ラスコー2~4にはそれぞれオリジナルに劣らない魅力があるようです。

 

いま帰国しているのですが、目的のひとつはこの展覧会です。

訪ねるのは1月上旬になると思いますが、とても楽しみです!

 

なお、国立科学博物館のラスコー展を訪ねる際は、今年世界遺産に登録されたル・コルビュジエの国立西洋美術館の見学もお忘れなく!

 

■世界遺産ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~

国立科学博物館(東京・上野):2016/11/01~17/02/19

東北歴史博物館(宮城・多賀城):2017/03/25~05/28

九州国立博物館(福岡・太宰府):2017/07/11~09/03

※休館日等の詳細はリンク等を参照のこと

 

 

[関連サイト]

Lascaux(ラスコー洞窟公式サイト。英語/スペイン語/フランス語/ドイツ語)

世界遺産ラスコー展(公式サイト)

旅行者が立ち入ることのできない非開放の世界遺産

 


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