世界遺産NEWS 16/01/06:ホヤ・デ・セレンでマヤ人の生活が明らかに

エルサルバドルの世界遺産「ホヤ・デ・セレンの古代遺跡」は「中米のポンペイ」「マヤのポンペイ」と呼ばれる遺跡です。

2015年12月下旬にエルサルバドルとアメリカの調査チームによって新しい発見が発表されたので報告しましょう。

 

「ポンペイ」は世界的に有名なイタリアの世界遺産「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域」のこと。

2014年に映画も公開されましたね。

西暦79年8月24日にヴェスヴィオ山が大噴火してポンペイやヘルクラネウムといったローマ都市が火山灰や火砕流の中に埋もれてしまいました。

これが発見されるのは約1,700年後の18世紀。

一瞬で街が埋もれたため当時の町の様子がそのまま保存されており、ローマ時代の生活を明らかにする大発見となりました。

 

ホヤ・デ・セレンも同じような歴史を持つマヤ都市国家の遺跡です。

3~4世紀、中米のエルサルバドル周辺は火山活動が盛んでイロパンゴ山がたびたび噴火して火山灰や溶岩が周辺を覆い尽くしました。

5世紀に入ると人々がふたたび暮らしはじめてホヤ・デ・セレンの町が建設されましたが、町は7世紀に噴火したロマ・カルデラの火山灰によって完全に埋もれてしまいました。

この遺跡が発見されるのは約1,400年後の1976年のこと。

農民が穀物倉庫を造ろうとしてブルドーザーで地面を掘っていたところ、たまたま発見に至りました。

 

ポンペイ同様、遺跡の状態はきわめて良好でした。

宗教的な建物や住宅・倉庫など18の建造物が発掘され、キッチンやリビング・浴場・貯蔵所などから陶器や宗教用具・庭園道具、炭化した穀物・布団・網枝細工などが発見されました。

また、周辺の畑からはトウモロコシやキャッサバ、リュウゼツラン、グアバ、カカオなどの植物の痕跡も見つかっています。

ただ、噴火の直前に地震などの前兆現象が町を襲ったためなのか、手荷物や食べ物がそのまま放置されている半面、人々は無事避難できたようで遺体跡などは発見されていません。

 

ホヤ・デ・セレンではいまだに発掘が続けられていますが、2015年12月の発表によると、マヤの人々の生活に対する見方が大きく変わりつつあるようです。

世界遺産「ホヤ・デ・セレンの古代遺跡」
世界遺産「ホヤ・デ・セレンの古代遺跡」 (C) Mariordo

「マヤ文明」は紀元前4世紀以前~後16世紀に栄えた中米の文明ですが、巨大な国があったわけではなく、熱帯雨林や低木地帯に多数の都市国家が誕生しました。

四大文明と決定的に異なるのは大河がない点で、これらの都市国家はセノーテと呼ばれる地下水脈に通じる陥没穴から水を得ていました。

そして森林をならして石でプラットフォームを敷いてその上に都市を建設し、3~9世紀の古典期には巨大なピラミッドが多数建設されました。

 

こうした都市の規模と洗練された都市構造、あるいは奴隷の記録や生け贄の風習などから、それぞれの都市国家は強力な中央集権体制を持ち、厳格な身分制度があるものと考えられてきました。

 

しかし、最近発見された畑は細かく分割されているのですが、これはひとりの強力な統治者に統治されていたわけでなく、多数のオーナーがいたことを示していると考えられます。

また、巨大な宮殿や城跡は発見されておらず、家々は正確に区画整理されてもいません。

これは強力な行政機構があったわけではないことと、家を建設する際に住民に決定権があり、かなりおおらかに決められていたことを示しています。

そして一般の住居跡から当時最高レベルと思われるヒスイの装飾品や陶器も発見されています。

一般人でも手に入れられるほどマヤ文明の人々の生活レベルが高く、身分関係も緩やかだったのでしょう。

 

マヤ文明というと映画などで目にする生け贄などの印象からちょっと怖いイメージを受けてしまいます。

でも、どうやらマヤの人々は私たちの予想以上に穏やかで平等な社会を生きていたようです。

 

ホヤ・デ・セレンと周辺にはまだまだ未発掘の建物や新しい集落の発見が期待される地域があったりします。

今後も新しい発見が期待できそうです。

楽しみですね。

 

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