世界遺産NEWS 15/11/15:ピラミッド&王家の谷で未知の空間発見!?

エジプトではこの11月、赤外線サーモグラフィーによる新たな発見が続いています。


まず、エジプトの世界遺産「古代都市テーベとその墓地遺跡」に登録されている王家の谷のツタンカーメンの墓。

イギリスの学術チームが赤外線サーモグラフィーを用いて玄室の壁を測定した結果、北側の壁に温度が低い部分が発見されました。

墓は地下に築かれているので壁の温度は一定に保たれているはずです。

このデータは壁の向こうに空洞があることを示唆していると言えそうです。

アリゾナ大学のイギリス人考古学者ニコラス・リーブス氏は、この未知の空間に伝説の美女・ネフェルティティの墓があると主張しています。

ネフェルティティは高校世界史の教科書にも登場するアメンホテプ4世(アクエンアテン/イクナートン)の王妃で、ツタンカーメンの妃の母(つまり義母)でもあります。

王のアマルナ改革(アテン神による一神教信仰、アケトアテンへの遷都等)に大きな影響を与えるなど、絶大な権力を誇っていたと考えられています。

 

これまで何度か「ネフェルティティの墓、ついに発見!」の報が流れたことがありますが、いずれも誤りか証拠不十分に終わっています。

リーブス氏は19歳で急死したツタンカーメン王の棺を安置するために急遽ネフェルティティの墓を開き、王の墓として改修したのちネフェルティティの墓を壁で封じたのではないかと指摘しています。

 

考古学者ハワード・カーター氏が1922年11月4日にツタンカーメン王の墓を発見したとき、「世紀の発見」として世界的なニュースになりました。

しかし、ネフェルティティの墓の重要性はツタンカーメンのそれをはるかに凌ぎます。

出生や結婚後の動向など謎が多い人物ですし、アマルナ美術の全盛期なので華麗な玄室や副葬品も期待できます。

 

もし発見された場合、墓の名前も「ツタンカーメンの墓」から「ネフェルティティの墓」に改称されるかもしれないとのこと。

ワクワクしますね。

* * *

 

続いて、同様のスキャンによって世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡 -ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」に登録されているギザの三大ピラミッドのひとつ、クフ王のピラミッドでも温度の異常が発見されました。

この調査は10月26日からエジプト、フランス、カナダ、日本の国際学術チームによって行われているスキャン・ピラミッドの一環で、日中と夜間の2度スキャンを行って温度変化をモニターしています。

異常が見つかったのはピラミッドの東側下部で、周囲との温度差は約6度。

その内部になんらかの空間が開けている可能性があり、未知の通路かもしれないということです。

 

調査を行っているエジプト人考古学者べス・アン・ジューダス氏によると、東側に空間があっても不思議ではないとのこと。

ピラミッドはすべてナイル川西岸にあり、西岸がネクロポリス(死者の街)とされ東岸に人々が暮らしていたことから、入口のようなものが東側にあっても理にかなっているようです。

 

このスキャン・ピラミッド計画ですが、赤外線サーモグラフィー以外にも宇宙線ミューオンラジオグラフィによる撮影も予定されています。

宇宙線ミューオンラジオグラフィとは、宇宙から降り注ぐ宇宙線ミューオン(ミュー粒子)を用いた透視技術のこと。

地球にはミューオンが降り注いでいるのですが、これがレントゲンで使用されるX線より透過力があるため、レントゲンのようにものを透視して撮影することができるのです。

これによってピラミッドの内部構造が明らかになるかもしれません。

ちなみに、この技術をリードするのは名古屋大学の森島邦博特任助教や高エネルギー加速器研究機構の高崎史彦理学博士らの日本チームということです。

 

ネフェルティティの墓にピラミッドの未知の空間。

今後の発表が本当に楽しみです。

 

* * *

 

観光情報もお伝えしておきましょう。

11月上旬、ルクソール西岸の王家の谷、貴族の谷で新たに3つの墓が一般公開され、2つの墓が再公開されました。

 

■初公開(貴族の谷)

  • フイ(TT40):ヌビア総督
  • アメンエムイネト(TT277):アメンホテプ3世神殿の神父
  • アメンエムハブ(TT278):アメン・ラーの神官

■再公開(王家の谷)

  • ツタンカーメン(KV62):第18王朝ファラオ
  • ホルエムヘブ(KV57):ツタンカーメンの将軍で第18王朝最後のファラオ

注目は、3年間にわたる修復を経て公開が決まったフイ(アメンホテプ・フイ)の墓。

フイはいまから約3,300年前の紀元前14世紀頃、ツタンカーメンに仕えたヌビア(現在のスーダン)のクシュの総督です。

フイの墓の壁画は保存状態が非常によく、フイがツタンカーメンに謁見している姿や戦車を率いている姿、ヌビアの黒人たちを従えている姿などが色鮮やかに描き出されています。

 

今回の公開は10月31日にシナイ半島で墜落し、224人の死者を出したロシアのコガリムアビア航空9268便の悲劇を受けてのもの。

この機は午前5時58分(エジプト時間)にシナイ半島南部のリゾート地シャルム・エル・シェイクを発ち、ロシアのサンクトペテルブルクに向かっていましたが、午前6時頃、上空で分解し墜落しました。

原因は調査中のようですが、アメリカやイギリスはテロを疑い、当初テロを否定していたエジプトやロシアも機内で爆発があった可能性を指摘しており、ISIL(イスラム国)が犯行声明を出しています。

現在イギリスやロシアはシャルム・エル・シェイクへの便を停止しています。

 

* * *

 

日本では東京六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーにて「黄金のファラオと大ピラミッド展」が開催されています。

日程は10/16~2015/1/3で、その後、愛媛県美術館(1/23~3/27)、仙台博物館(4/22~6/26)などを巡回するとのこと。


大きな発見を期待しつつ、古代エジプトに思いを馳せてみてはいかがでしょう。



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