世界遺産NEWS 15/05/14:南九州市、特攻隊遺書を「世界の記憶」再申請へ

5月13日、南九州市が会見を開き、太平洋戦争中に特攻隊員たちが書き残した「知覧からの手紙」(知覧特攻遺書)を「世界の記憶(世界記録遺産/UNESCO記憶遺産)」に申請する意志を表明しました。


「知覧からの手紙」とは、知覧特攻平和会館が所蔵する下記のような資料群を示します(公式サイトより抜粋)。

  • 遺書:特攻隊員が、死後のため家族や知人宛に想いを書き残した文章・筆跡等
  • 絶筆:特攻隊員が、出撃直前人生最後に家族や知人宛に想いを書いた文章・筆跡等
  • 遺詠:特攻隊員が詠んだ詩歌等
  • 寄書き:特攻隊員達が、出撃を前にして絶筆を布に書き綴った文章・筆跡等

現在の南九州市のある場所には当時、陸軍特攻隊の知覧基地が設置されていました。

彼らが遺した思いは「忘れてはならぬ記憶」として知覧特攻平和会館が保存しています。


霜出市長は世界の記憶への申請に関してこう述べました。

「終戦から70年が経過し、戦争を知る当事者たちも多くは高齢になりました、しかし、この記憶を風化させるわけにはいきません。戦争は悲惨で残虐で愚かでございます。 私たちは、人類が二度と戦争を繰り返すことのないことを心から願っております」


そして知覧特攻平和会館の公式サイトは「平和への願い」として下記の文書を掲載しています。


■平和への願い(公式サイトより抜粋)

 知覧特攻平和会館は、太平洋戦争末期沖縄戦で、人類史上類例のない爆装した飛行機もろとも敵艦に体当たりし亡くなられた陸軍特別攻撃隊員1,036名の遺影・遺品・遺書・手紙などを保存公開しています。

 特攻隊員が書き残した遺書や手紙等は、「戦争の悲劇」「愛する者への想い」が綴られた「平和への遺言」であります。

 これら資料は、戦争の悲惨さを世界の人々に語り継ぎ、「二度と戦争を起こしてはならない」ということを発信する、人類にとって極めて貴重な記憶遺産であると信じています。

 私たちは、特攻隊員が出撃前に書き残した「知覧からの手紙」(知覧特攻遺書)を毀損・消失することなく保存し、人類の宝として次の世代に永久に語り継いでいくために、2017年(平成29年)のユネスコ世界記憶遺産登録を目指します。


平和への遺言――

グッとくる言葉ですね。


実はこの物件、2015年の登録を目指していましたが、申請物件が多すぎて処理できないということでUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)から差し戻しを受けてしまいました。


世界の記憶の審査は2年に1度行われていますが、申請数を絞るため1国2件までに制限されるようになり(複数国による共同推薦物件は含まない)、UNESCOの国内委員会が物件を絞り込んでいます。

2017年の推薦物件については、今年6月頃まで公募を行い、9月に国内候補が決まる予定です。


そして、この物件に関してまた韓国が反対をしているようです。

自国を美化し不都合な歴史を覆い隠すもの、あるいは日本の戦争責任に触れられていない、ということのようです。


反対している方々はこの物件の内容と目的を知ったうえで言っているのでしょうか?

どのあたりがどのように美化・隠蔽なのでしょうか?

場合によってはナショナリズムさえも否定される、そんな物件だと思うのですが。


昨年、韓国は「明治日本の産業革命遺産」の登録に反対してUNESCOのイリーナ・ボコバ事務局長に「世界遺産登録の基本精神に反する」と呼び掛けたそうです。

これに対して事務局長は「世界遺産登録は、関係国の分裂と葛藤ではなく、統合を導く役割をしなくてはならない」と回答したとのことです。

まったくその通りだと思います。

そもそもUNESCOは、7,000万~8,000万人が死亡したふたつの大戦の反省を踏まえて設立されました。

その目的は、教育・科学・文化を普及させることで戦争を防ぐことにあります。

それはUNESCO憲章前文にハッキリと記されています。


戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。

ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。

文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。

政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。

これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。

その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

(日本ユネスコ協会連盟公式サイトより)


コンセプトにおいて、「知覧からの手紙」ほどこの意志に合致する物件も珍しいと思います。

民族主義や愛国主義を超えた国際平和と人類共通の福祉こそが目的なのですから。


反対すること自体はまったく構わないと思いますが、この辺りの議論が深まることを期待します。


 

[関連サイト]

知覧特攻遺書を世界記憶遺産登録へ!(知覧特攻平和会館の公式サイト)

世界の記憶(世界記録遺産/ユネスコ記憶遺産)リスト

 


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