世界遺産NEWS 15/04/01:韓国、「明治日本の産業革命遺産」に再度反対表明

今年の6月28日~7月8日、ドイツのボンで開催される第39回世界遺産委員会で世界遺産登録の可否が決まる「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域 "Sites of Japan Meiji Industrial Revolution (Kyushu, Yamaguchi and related area)"」。

韓国は以前からこの物件の登録に反対を表明していましたが、登録を防ぐ活動をさらに強化するということです。


強制徴用現場が「文化遺産?」強力に反発へ


この世界遺産候補は、奇跡ともいわれる日本の急速な産業化を実現した重工業(製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業)を支えた産業遺産で、8県11市にまたがる28の資産で構成されています。

韓国が反対している理由は、強制徴用などの悲劇の場所であるためです。

 

韓国の報道によると、軍艦島は強制徴用された朝鮮人122人が犠牲となり、長崎造船所では約4700人が徴用され、この多くが8月9日の原爆投下で亡くなっています。

これらは韓国民の痛みが立ちこめる場所であり、世界遺産にはふさわしくないということです。

韓国はこの遺産の推薦が決まった2012年から反対していましたが、今後さらにパリのUNESCO(ユネスコ。国際連合教育科学文化機関)に役員を派遣して登録を防ぐための外交を展開するようです。

 

今回またこの話が持ち上がったのは、世界文化遺産の事前審査を行うICOMOS(イコモス。国際記念物遺跡会議)が登録に肯定的であることが明らかになったためであるようです。

その年の候補物件に関して、文化遺産はICOMOS、自然遺産はIUCN(自然保護連合)、複合遺産は両者が例年4月下旬~5月頭までにUNECO世界遺産センターに評価報告書を提出します。

この報告書を参考に世界遺産委員会が登録の可否を決定するのですが、これが本当であれば「明治日本の産業革命遺産」は登録に一歩近づいたことになります。

世界遺産候補「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」
「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産のひとつ、軍艦島

そして世界遺産委員会では、21の委員国の2/3以上、つまり14か国以上の賛成をもって可決されます(棄権国が出た場合は投票した国の2/3以上)。

第39回世界遺産員会における委員国は下記となっています。

アルジェリア、コロンビア、クロアチア、フィンランド、ドイツ、インド、ジャマイカ、日本、カザフスタン、レバノン、マレーシア、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、セネガル、セビリア、トルコ、ベトナム

 

日本と韓国が入っていますね。

世界遺産委員会では、開催期間のロビー活動によって事前審査の結果が覆ることがよくあります。

日本の物件では、登録が難しいとされていた石見銀山や富士山の三保松原が逆転登録に成功しています。

韓国は今回、こうしたロビー活動にも力を入れてくるのでしょう。

 

個人的には、「世界遺産登録の基本精神に反する」という韓国の立場はよくわかりません。

日本でも「事実関係を調べ、必要ならその事実を書き込む必要がある」という意見もあり、これなら十分理解することができます。

そもそも世界遺産には「アウシュヴィッツ-ビルケナウ:ナチスドイツの強制絶滅収容所 [1940-1945])」や「広島平和記念碑[原爆ドーム]」も登録されているわけで、なぜ基本精神に反するのか説明を聞きたいところです。

 

実はここ数年、日中韓の間でUNESCOの遺産活動を巡って対立が深刻化しています。

たとえば「世界の記憶(世界記録遺産/ユネスコ記憶遺産)」において、中国は南京事件、韓国は慰安婦に関する記録書を登録しようと活動を進めています。

また、戦争反対の立場から日本が推薦を検討している「知覧からの手紙(知覧特攻遺書。特攻隊員が出撃前に書いた手紙)」に対しても、韓国は反対を表明しています。

 

最後にUNESCO憲章の前文を記しておきましょう。

すばらしい憲章だと私は思います。

 

戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。

ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。

文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。

政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。

これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。

その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

(日本ユネスコ協会連盟公式サイトより)

  

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