世界遺産と世界史40.産業革命

シリーズ「世界遺産で学ぶ世界の歴史」では世界史と関連の世界遺産の数々を紹介します。

なお、本シリーズはほぼ毎年更新している以下の電子書籍の写真や文章を大幅に削ったダイジェスト記事となっています。

 

■電子書籍『世界遺産で学ぶ世界の歴史 ~海外旅行から世界遺産学習まで~』

 1.古代編、2.中世編、3.近世編、4.近代編、5.世界大戦編

 

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<産業革命の条件>

■絹の需要

綿花
綿花。つぼみのような種子が成熟してはじけると白い綿花が現れます。インドではインダス文明の時代から栽培されていました
世界遺産「アイアンブリッジ峡谷(イギリス)」、コールブルックデール、通称アイアンブリッジ
1779年に建設された長さ約60mのアーチ橋コールブルックデール、通称アイアンブリッジ。エイブラハム・ダービーがイギリスのこの地で産業革命を可能にする画期的な製鉄法を発明したことから「産業革命発祥の地」といわれています。世界遺産「アイアンブリッジ峡谷(イギリス)」構成資産

大航海時代以前、東西文化交流を支えたシルクロードの主要交易品は文字通り絹(シルク)でした。

カイコのサナギの繭(まゆ)から生産される中国の絹織物は同じ重さの金と交換されたというほど高級品として扱われました。

 

これに続く高級織物が綿(コットン。木綿)で、こちらはインドで誕生し、大航海時代に盛んにヨーロッパへ輸出されました。

そして世界の織物の需要は産業革命によって羊毛(ウール)や亜麻(リネン)から綿へと変化します。

なぜそんなに綿が必要とされたのでしょうか?

 

中世・近世まで、ヨーロッパの人々の衣服は主に羊毛や亜麻で作られていました。

羊毛は保温性がよくて暖かいのですが、夏は暑すぎます。

亜麻は通気性がよくて涼しいのですが、冬は寒すぎます。

両者とも当時の生地はぶ厚かったため加工がしにくく重ね着は困難、繊維も荒いのでザラついており、色を抜いたり染めたりする技術が未熟だったため地味で似たような製品しか作ることができませんでした。

 

ところがインドから輸入された高級綿織物キャラコは薄くて軽くて刺繍などの加工がしやすく染色も簡単。

おまけに着心地は滑らかで、色もデザインも自由自在。

寒ければ重ね着すればいいし、汚れたら水で洗濯することもできました。

このためイギリスで「キャラコ熱」と呼ばれるほどの大ブームを巻き起こし、イギリス東インド会社はキャラコの貿易で莫大な利益を上げました。

 

綿織物、綿布、あるいは木綿織物というのは綿花という植物から採れる糸=綿糸を紡いで織った布のこと。

綿花から綿糸を作る過程を「紡績」、綿糸から綿織物を作る過程を「織布」といいます。

 

綿製品の市場拡大を脅威に感じたイギリスの羊毛業者が国王に泣きついた結果、1700年にウィリアム3世がキャラコの輸入を禁止してしまいます。

そこで、インドから綿花を輸入してイギリスで紡績と織布をはじめました。

 

毛織物の需要はほぼヨーロッパに限られていましたが、綿はヨーロッパはもちろんインドや中国をはじめ世界中で人気があり、高級品として扱われていました。

これを極めれば世界の織物産業を牛耳ることができる――

これが産業革命の契機となりました。

 

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■産業革命の条件1.海外市場

世界遺産「海商都市リヴァプール(イギリス)」のアルバート・ドック
三角貿易の主要港となった元世界遺産「海商都市リヴァプール(イギリス)」のアルバート・ドック(2021年に「海商都市リヴァプール」は世界遺産リストから抹消されました)。ドックは船の建造・修理や荷物の積み下ろしを行う施設で、1846年に完成したこのドックによって船から倉庫に直接積み下ろすことができるようになりました

重商主義をとったイギリスは、16世紀にスペイン、17世紀にオランダ、18世紀にフランスを追い落とし、「太陽の沈まぬ帝国(第1帝国)」といわれる広大な海外市場を手に入れました。

そして綿の原産地であるインドを支配下に収め、北アメリカやブラジルでもプランテーションを経営して綿花の栽培をはじめます。

「イギリス→(工業製品・武器)→アフリカ→(黒人奴隷)→アメリカ→(綿花・タバコ・コーヒー・砂糖)→イギリス」という三角貿易は莫大な富を生み出しました。

 

産業革命が進むと今度は綿製品をヨーロッパはもちろんインドやアメリカといった新世界にも輸出しました。

19世紀には、「イギリス→(綿織物)→インド→(銀・アヘン)→中国→(茶)→イギリス」という三角貿易が成立。

この結果、インドは綿織物の輸出国から輸入国へ転落し、インド経済は大ダメージを受けました。

 

■産業革命の条件2.資本

世界遺産「コーンウォールとウェストデヴォンの鉱山風景(イギリス)」のレヴァント鉱山
16~20世紀にかけて銅や錫の生産が行われた世界遺産「コーンウォールとウェストデヴォンの鉱山風景(イギリス)」のレヴァント鉱山。トレビシックが発明した高圧揚水機を導入してより効率的な採掘が可能になりました (C) Tom Corser

産業革命前、それまで世界一の毛織物産業国だったネーデルラントやフランドルに代わり、イギリスが台頭しました。

 

商工業を中心とした都市生活は貨幣経済を形成し、資本の蓄積を促しました。

金融資本が発展し、さらにイングランド銀行による財政革命(銀行券による金融業務の発達)によって資金力が飛躍的に向上し、ロンドンは世界金融の中心になりました。

加えて海外の植民地経営が富を生み、資本は着実に蓄積されて投資先を探していました。

 

産業革命当初、工場主たちは借金によって工場を経営していましたが、資本が富を生み、富が資本となってさらに富を生む循環によって資本と富は拡大しました。

そして拡大を植民地と海外市場が支え、イギリス帝国は質量両面において拡大を続けます。

 

当初は綿を中心とする軽工業が発達し(第1次産業革命)、工場制機械工業があらゆる分野に適用されて機械類の産業が発展しました。

さらに、それを運ぶための造船・鉄道といったインフラや鉄鋼・石炭といった材料・燃料産業が飛躍し、重工業や重化学工業における産業革命を導きました(第2次産業革命)。

 

■産業革命の条件3.労働力

世界遺産「ソルテア(イギリス)」
ソルテアの工場跡、手前が住宅。工場周辺の汚れた空気や川、劣悪な住宅環境を見た実業家タイタス・ソルトは、この地に工場を移転して労働者が明るく健康的に暮らすことのできる理想都市を建設しました。世界遺産「ソルテア(イギリス)」構成資産

羊毛生産のために農地を牧草地に換えた16世紀の第1次エンクロージャー(囲い込み)は農民の減少と都市生活者の増加をもたらしました。

18世紀頃から人口増加に対応するために、今度は農業生産のための囲い込み=第2次エンクロージャーが行われます。

その担い手は豊富な資金を持つ農業資本家で、資本家がジェントリ(郷紳。貴族階級に次ぐ地主階級)から土地を借り、賃金労働者として農民を雇用して資本主義的な農場経営を行いました。

 

一方で、土地を失ったり自ら都市に移住した農民たちは毛織物や綿織物の工場で働きました。

それまで庶民は農場で農業を担うか、家で織物を織ったりして手工芸品を売っていましたが(家内制手工業)、都市の工場に勤務する新しい生活スタイルが誕生しました(工場制手工業=マニュファクチュア)。

このマニュファクチュアが工業化のベースとなり、機械が工場で生産を行う工場制機械工業への移行を促しました。

 

■産業革命の条件4.工業原料

世界遺産「ブレナヴォン産業景観(イギリス)」
18世紀後半から石炭の採掘と製鉄で栄えた世界遺産「ブレナヴォン産業景観(イギリス)」。当初は馬車で石炭を運び、後には鉄道が開通しています (C) Alan Stanton

イギリスはローマ時代から鉄鉱石や石炭がよく採れていましたが、この豊富な原料が産業革命を支えました。

産業革命の転機となった発明が、コールブルックデール①でエイブラハム・ダービーが発明したコークス(蒸し焼きした石炭)を使って高品質の鉄を作り出す製鉄法で、これにより鉄の品質・生産量が飛躍的に向上し、機械類や鉄道・蒸気機関車などの製造を可能にしました。

 

当初石炭はこのように鉄鉱石を溶かすために使われましたが、蒸気機関が誕生するとその燃料として大量に使用されました。

ブレナヴォン②はローマ時代以来の石炭・鉄鉱石の鉱山地帯で、ここで採掘から製鉄までを行いました。

コーンウォール州とウェストデヴォン州の鉱山群③は特に銅・錫(すず)・ヒ素の生産で知られ、世界の銅の2/3、ヒ素の1/2を生産しました。

※①世界遺産「アイアンブリッジ峡谷(イギリス)」

 ②世界遺産「ブレナヴォン産業景観(イギリス)」

 ③世界遺産「コーンウォールとウェストデヴォンの鉱山風景(イギリス)」

 

* * *

 

<4つの革命>

■4つの革命1.技術革命

世界遺産「ダーウェント峡谷の工場群(イギリス)」、クロムフォード・ミル
アークライトが開発した水力紡績機を導入したクロムフォード・ミル。当時世界でもっとも近代的な工場で、イギリス産業革命をリードしました。世界遺産「ダーウェント峡谷の工場群(イギリス)」構成資産

歴史が長い羊毛業の場合、機械化されたり独占されると困るギルドや職人・商人たちがいるので競争や技術革新はなかなか進みませんでした。

一方、キャラコの輸入が禁止されるまでイギリスには綿産業はほとんど存在せず、新しい産業なので規制もなく自由に技術革新が進みました。

以下、一例です。

 

○ジョン・ケイ:飛び杼(ひ)

織物は縦に並べた経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を通して織りますが、従来、緯糸は助手が杼と呼ばれる装置を操作して紡いでいました。飛び杼は自動的に横に飛んで戻ってくる装置で、これによって織りの速度は4倍に飛躍し、助手が不要になりました。

 

○ハーグリーブス:ジェニー紡績機

綿花の一本一本の糸は短いので、これを同じ方向に伸ばしてひねって結びつけて一本の長い糸を作ります。

このとき使うのが糸車ですが、ジェニー紡績機で同時に複数の糸を紡ぐことができるようになり、従来の6~8倍の速度を達成しました。

 

○アークライト:水力紡績機

動力に水車による水力を用いた紡績機で、速度が600倍になっただけでなく、機械が強いひねりを入れることで強靭な糸を生産しました。

 

○カートライト:力織機

川が近くにないと使えない水力に代わって蒸気機関を動力に用いた織機で、織りをきわめて高速化しました。

 

■4つの革命2.エネルギー革命と動力革命

蒸気機関のモデル。右で発生した蒸気の力を中央のシリンダーでピストン運動に換え、その運動を左のフライホイール(はずみ車)で円運動に転換しています。発電所ではこの回転力をさらに電力に変換します

世界遺産「インドの山岳鉄道群(インド)」、ニルギリ山岳鉄道
1899年に開通し、現在も運行しているインドのニルギリ山岳鉄道。蒸気機関の普及によって人類は世界の隅々まで気軽に行くことができるようになりました。世界遺産「インドの山岳鉄道群(インド)」構成資産 (C) Arindambasu2

産業革命以前、人々はエネルギー源として薪(まき)や木炭を使っていました。

しかし、木材が乏しいイギリスでは鉄の生産に必要な薪や木炭の確保は次第に難しくなり、新しいエネルギー源が必要とされました。

こうしてイギリスでより大きなエネルギーを取り出すことができる石炭への転換が進みました。

時代を下ると石炭は石油や天然ガスへ代わっていきますが、このような化石エネルギーへの転換を「エネルギー革命」といいます。

 

また、産業革命の時代に効率的に熱を力に換える装置が発明されました。

蒸気機関がそれで、こちらは「動力革命」といわれています。

18世紀、ニューコメンは蒸気の力を持ち上げたり下げたりする上下運動に換え、ワットはこれを改良して回転運動に転換しました。

 

■4つの革命3.交通革命

世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河(イギリス)」
トーマス・テルフォードが設計した1805年竣工のポントカサステ水路橋。鉄と石を組み合わせた当時としては画期的な水路橋で、この上を石炭を積んだ船が行き来しました。世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河(イギリス)」構成資産
世界遺産「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(イタリア/スイス共通)」、ベルニナ線ブルージオのオープンループ橋
美しい円を描くベルニナ線ブルージオのオープンループ橋。アルブラ線には42のトンネルと144の高架橋、ベルニナ線には13のトンネルと52の高架橋があり、自然美と人工美が一帯となった文化的景観が展開しています。世界遺産「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(イタリア/スイス共通)」構成資産 (C) Kabelleger / David Gubler

産業革命が進むにつれて使用する石炭や鉄鉱石、生産される鉄や機械は格段に増え、それらを運ぶ交通機関の改良が望まれました。

18世紀後半には運河網が整備され、内陸部に船を乗り入れさせました。

この時代の運河に関する世界遺産には、イギリス一の長さを誇る水路橋&運河ポントカサステ①や、高さの異なる運河を連結したラ・ルヴィエールやル・ルーの閘門②、イギリスがカナダに築いたリドー運河③などがあります。

 

蒸気機関車に関しては、トレビシックが発明し、スティーヴンソンが改良を重ねて1814年に試作に成功。

1825年には史上初となる商用鉄道=ストックトン・アンド・ダーリントン鉄道が開通して石炭や旅客を運びました。

このあと鉄道はイギリスはもちろんアメリカやインドといった植民地でも公共交通機関として急速に普及していきます。

 

鉄道に関する世界遺産としては、アルプスの難所を破ってオーストリアが地中海へ続く路線を手に入れたゼメリング鉄道④や、秘境とされていたアルプスに開通したレーティシュ鉄道⑤、イギリスがインドに開業した鉄道の始点ヴィクトリア・ターミナス駅⑥、紅茶の産地であるダージリンに敷いたダージリン・ヒマラヤ鉄道⑦などがあります。

※①世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河(イギリス)」

 ②世界遺産「中央運河にかかる4機の水力式リフトとその周辺のラ・ルヴィエール及びル・ルー[エノー](ベルギー)」

 ③世界遺産「リドー運河(カナダ)」

 ④世界遺産「ゼメリング鉄道(オーストリア)」

 ⑤世界遺産「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(イタリア/スイス共通)」

 ⑥世界遺産「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅[旧名ヴィクトリア・ターミナス](インド)」

 ⑦世界遺産「インドの山岳鉄道群(インド)」

 

■4つの革命4.生活革命

イギリスの世界遺産「ニュー・ラナーク」
イギリスの世界遺産「ニュー・ラナーク」。上流にダムを設置して水の安定供給を図り、リチャード・アークライトが開発した水力紡績機で綿糸の生産を行いました。最盛期には約2,500人がここで暮らしていました
イタリアの世界遺産「クレスピ・ダッダ」
理想的な企業城下町を目指して造られたイタリアの世界遺産「クレスピ・ダッダ」。19世紀後半に紡績工場が建てられると、20世紀はじめには種々の綿工場とともに写真のような庭つきの住宅や教会堂・学校・病院・劇場・墓地などが建設されました

繊維工業の成功はあらゆる工業に応用され、他の産業でも工場化・機械化が進みました。

おかげで人々の衣食住が大きく変わりました。

 

衣について、洋服の素材が羊毛や亜麻から綿に代わったのはこれまでの通りです。

食について、砂糖やコーヒー・紅茶、ジャガイモ、トウモロコシ、バナナ、レモン、オレンジ、チョコレートやトウガラシなどが普及したのはこの時代です。

さらに蒸気船や蒸気機関車などの輸送機関やトロール漁の導入、冷凍技術の発達で魚や肉も気軽に食卓に上がるようになりました。

ロンドン名物フィッシュ&チップスはこの時代の象徴的な食べ物です。

 

住について、都市生活では工場に勤務するスタイルが一般化し、テラスハウス(境界壁を共有する長屋のような連続住宅)やタウンハウス(2~3階建ての集合住宅)が普及しました。

工場が寮のような形で集合住宅を持つ例もあり、工場城下町のような産業コミュニティを形成しました。

 

たとえばイギリスのニュー・ラナーク①では労働者の教育や生活環境にも注意を払い、安価な購買所や幼稚園を設置し、労働時間も短縮するなど福祉にも力を入れました。

ソルテア②はタイタス・ソルトが理想都市を目指して築いたコミュニティで、綿織物工場や運河・鉄道を中心に住宅・教会堂・学校・病院・図書館・コンサートホール・救貧院などからなり、その後の都市のモデルとなりました。

イギリス以外では、イタリアの企業都市クレスピ・ダッダ③やフランスの石炭鉱山町ノール=パ・デュ・カレー④などの例が挙げられます。

※①世界遺産「ニュー・ラナーク(イギリス)」

 ②世界遺産「ソルテア(イギリス)」

 ③世界遺産「クレスピ・ダッダ(イタリア)」

 ④世界遺産「ノール=パ・デュ・カレー地方の炭田地帯(フランス)」

 

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<産業革命の拡散>

■産業革命の世界展開

世界遺産「エッセンのツォルフェライン炭坑業遺産群(ドイツ)」
バウハウス様式を取り入れ、「世界でもっとも美しい炭鉱」と称された世界遺産「エッセンのツォルフェライン炭坑業遺産群(ドイツ)」、第12採掘坑のダブル・ヘッドフレーム。関税同盟(ツォルフェライン)にちなんで命名されたラインラントのルール地方の炭鉱で、一時は世界最大の石炭・コークス産出量を誇りました
世界遺産「フェルクリンゲン製鉄所(ドイツ)」
1873年に完成した世界遺産「フェルクリンゲン製鉄所(ドイツ)」。ザール地方で採れる豊富な石炭や鉄鉱石を利用して鉄を生産し、近代化に出遅れたドイツをイギリスをも凌駕するヨーロッパ最大の工業国に引き上げました

「世界の工場」となったイギリスは産業革命での成功を独占するため1774年に機械輸出禁止令を出して織機や紡績機などの輸出を禁止しました。

しかし、自由貿易の推進と機械市場の拡大のために(機械そのものを売るために)、1843年にこれを解除すると、産業革命はヨーロッパやアメリカで花開きます。

 

最初に普及したのがイギリスと同じ織物業や金融業が盛んで鉱山①が豊富なベルギーです。

ベルギーは1830年に独立すると産業革命に成功し、運河②や鉄道を普及させました。

 

フランスがこれに続いて1830年にはじまりますが、フランス革命やナポレオン戦争の影響で労働力も資本も不足していたため資本主義経済の浸透は遅れました。

これに危機感を抱いたナポレオン3世が主導して、1860年代に一気に本格化します。

 

ドイツは小さな領邦(諸侯や都市による領土・国家)が集まった地域で、物資を運ぶだけでそれぞれの国に関税を払う必要があるなど産業の振興には遠い状態でした。

しかし、1834年にプロイセンを中心にドイツ関税同盟=ツォルフェラインが成立して経済統合が実現し、域内の交易が自由化されるとラインラントを中心に産業革命が進行しました。

もともと織物が盛んではなかったことと石炭や鉄鉱石が豊富だったことからいきなり製鉄業などの重工業や重化学工業が発達し、19世紀半ばにはイギリスを凌駕するほどの工業国に飛躍しました。

 

アメリカでは1812~14年のアメリカ=イギリス戦争(米英戦争)でイギリスとの貿易が途絶えて以来、自国の生産が拡大して産業革命がスタートします。

広大な国土には綿花はもちろん石炭も鉄鉱石も石油も豊富で、大陸横断鉄道などで需要も拡大。

奴隷制が廃止されてもアジアからの移民、いわゆるクーリー(苦力。契約移民)がそれを補い、労働力も確保できました。

こうして19世紀末にはイギリスやドイツ帝国を凌ぐほどに発展していきます。

※①世界遺産「ワロン地方の主要な鉱山遺跡群(ベルギー)」

 ②世界遺産「中央運河にかかる4機の水力式リフトとその周辺のラ・ルヴィエール及びル・ルー[エノー](ベルギー)」

 

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次回はアメリカ独立革命を紹介します。

 


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02.大陸の形成

03.地形の形成

04.生命の誕生

05.生命の進化

06.人類の夜明け

07.文明の誕生

08.エジプト文明

09.インダス文明

10.中国文明

以下続く。

 

<世界遺産で学ぶ世界の建築>

01.建築の種類1:城と宮殿

02.建築の種類2:宗教建築

03.建築の種類3:メガリス

04.木造建築の基礎知識

05.石造建築の基礎知識

06.ギリシア建築

07.ローマ建築

08.ビザンツ/ビザンチン建築

09.ロマネスク建築

10.ゴシック建築

以下続く。

 

<世界遺産写真館>

1.文化交差路サマルカンド1

2.文化交差路サマルカンド2

3.アッパー・スヴァネティ

4.グラナダのアルハンブラ宮殿1

5.グラナダのアルハンブラ宮殿2

6.コトル

7.プレア・ヴィヒア寺院

8.福建の土楼1

9.福建の土楼2

10.フォンニャ=ケバン国立公園1

以下続く。

 

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