世界遺産と建築17 イスラム教建築2:世界のモスク建築

シリーズ「世界遺産で学ぶ世界の建築」では世界遺産を通して世界の建築の基礎知識を紹介します。

本シリーズは以下の電子書籍の写真や文章を大幅に削ったダイジェスト記事となっています(構成は多少変えてあります)。

詳細は下のリンクか "shop" を参照してください。

 

電子書籍『世界遺産で学ぶ世界の建築 ~海外旅行から世界遺産学習まで~』

  1. 古代、ギリシア・ローマ、中世編
  2. 近世、近代、現代編
  3. イスラム教、ヒンドゥー教編
  4. 仏教、中国、日本編

第17回はイスラム教のモスク建築と廟建築のバリエーションを紹介します。

本章は以下のような構成です。

  • アラブ型・多柱式モスク
  • ペルシア、トルキスタンの建築
  • ペルシア型・イーワーン式モスク
  • インド型・ムガル式モスク
  • トルコ型・中央会堂式モスク 

* * *

<アラブ型・多柱式モスク>

■アラブ型・多柱式モスク

アラブ型・多柱式モスクの平面プランの例
アラブ型・多柱式モスクの平面プランの例。左半分のオレンジ色の連なりが多柱室、左端の紫色がミフラーブ。右半分の空間は中庭(サハン)で、中央の青が泉亭(ホウズ)、右上のオレンジがミナレット(塔)
世界遺産「コルドバ歴史地区(スペイン)」、メスキータ
コルドバのメスキータ。全体は典型的なアラブ型・多柱式モスクながら、中心付近にゴシック様式の聖マリア大聖堂がはめ込まれています。世界遺産「コルドバ歴史地区(スペイン)」構成資産 (C) Toni Castillo Quero

モスクのはじまりはムハンマドがイスラム教第二の聖地メディナの自宅に造った礼拝堂(預言者のモスク)です。

そのためアラブの一般的な住宅がそのままモスクの礼拝堂として発達しました。

 

全体は周壁に囲われており、緑豊かな中庭を持ち、柱が立ち並んだ多柱室や列柱廊を備えています。

内部に壁を使わず柱を多用しているのは、広いスペースを確保することと、風通しをよくすることが目的です。

 

メッカの方角にミフラーブが設置されていますが、建物自体は必ずしもそちらを向いているわけではありません。

神殿や寺院ではなく礼拝堂にすぎないモスクでは建物は神聖視されておらず、方角にはあまりこだわりが見られません。

 

このように預言者のモスクをモデルとして西アジアや北アフリカで発達したモスク型は周壁・多柱室・列柱廊・緑豊かな中庭などが特徴で、装飾は他のモスク型と比較して簡素なものとなっています。

 

[関連記事]

世界遺産と世界史22.イスラム帝国

 

<ペルシア、トルキスタンの建築>

■廟建築とドーム

世界遺産「ブハラ歴史地区(ウズベキスタン)」、イスマイール・サーマーニー廟
ブハラのイスマイール・サーマーニー廟。10世紀に建設されたキャノピー・トゥームで、中央アジアにおけるドーム建築の先駆けとなりました。世界遺産「ブハラ歴史地区(ウズベキスタン)」構成資産
イランの世界遺産「ゴンバデ・カーブース」
ズィヤール朝王家の墓廟、イランの世界遺産「ゴンバデ・カーブース」。高さ53m、基壇を含めると72mと、レンガ建築としては世界最高とされています (C) Farzaaaad2000

現在のイラン周辺をペルシア、中央アジアのトルコ人居住地をトルキスタンと呼びますが、ペルシアやトルキスタンでも次第にイスラム化が進んでいきました。

これらの土地ではシルクロードを通して古くから中国やインド、アラブ、ヨーロッパの文化が伝えられており、ドームやアーチ、幾何学文様、草花文様、彩釉タイルなどさまざまな建築・芸術様式が発達し、イスラム教建築に影響を与えました。

 

一例がイスラム廟建築です。

遺体や遺骨・遺灰を埋葬する「墓」に対し、死者の霊や魂を祀る施設を「廟」、両者の機能を備えたものを「墓廟」といいます。

ギリシア・ローマ・初期キリスト教建築では廟は円や正多角形の集中式(有心式。円や正多角形のように中心を持つ均整の取れた平面プラン)で築かれましたが、ペルシア・トルキスタンでも引き継がれています。

 

中央アジア最古のイスラム廟建築とされるのがウズベキスタン・ブハラ※のイスマイール・サーマーニー廟で、10世紀に建設されたペルシア系イスラム王朝であるサーマーン朝の王を祀る墓廟となっています。

正方形の集中式で、直径約8mのドームを冠していますが、四角形と円を組み合わせたこのような墓廟を「キャノピー・トゥーム(天蓋墓)」といいます。

 

こうしたキャノピー・ドゥームはビザンツ建築のドーム・バシリカの技術が応用されています。

ドーム・バシリカについては「世界遺産と建築08 ビザンツ建築/ビザンチン建築」を参照してください。

※世界遺産「ブハラ歴史地区(ウズベキスタン)」

 

■イーワーン

イランの世界遺産「イスファハンのジャーメ・モスク」
イランの世界遺産「イスファハンのジャーメ・モスク」の中庭。手前にもイーワーンがあり、4基(チャハル)のイーワーンで囲まれています(チャハル・イーワーン) (C) Rohallah
世界遺産「サマルカンド-文化交差路(ウズベキスタン)」、グリ・アミール廟のイーワーン
サマルカンド、グリ・アミール廟のイーワーン。イスラム文様アラベスクで埋め尽くされており、上部には鍾乳石をかたどったムカルナスが垂れ下がっています。世界遺産「サマルカンド-文化交差路(ウズベキスタン)」構成資産

 ペルシア・トルキスタンで発達した建築のひとつが「イーワーン」です。

 

イーワーンは「コ」の字形をした門状の建物で、一方が開放空間で三方が壁となっています。

天井は頭の尖った尖頭アーチ(尖頭サラセン・アーチ)が連なったヴォールト(アーチを前後に重ねてできたカマボコ形・半筒状の空間)天井で、壁にはいくつかの出入口が設置されています。

 

イーワーンはもともと宮殿の礼拝堂に使用されていたようですが、アッバース朝の時代にモスクのエントランスに取り付けられ、外部と中庭を結ぶ建物となったようです。

やがて中庭をふたつのイーワーンで挟む「ドゥ・イーワーン(2イーワーン)」が誕生し、セルジューク朝の時代に中庭の四方をイーワーンで囲む「チャハル・イーワーン(4イーワーン)」が完成しました。

ドゥは2、チャハルは4を意味します。

 

イーワーンは門として使用されただけでなく、モスクや廟のファサードを飾ったり、細かいイーワーンを連ねて装飾とするなどさまざまな用途で使用されました。

この辺りはペルシア型・イーワーン式モスクで解説します。

 

■二重殻オニオン・ドーム/タマネギ・ドーム

イランの世界遺産「ソルターニーエ」のオルジェイトゥ廟
イランの世界遺産「ソルターニーエ」のオルジェイトゥ廟。イル・ハン国のスルタン(国王)、オルジェイトゥを祀る八角形の廟建築で、8本のミナレットに囲まれたドームは直径38m・高さ約50mを誇ります (C) Zenith210
カザフスタンの世界遺産「ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟」
カザフスタンの世界遺産「ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟」。ヤサヴィー教団の指導者ヤサヴィーを祀る廟で、巨大な二重殻ドームとイーワーンが確認できます

中央アジアや西アジアには華麗なイスラム都市が発達しましたが、13世紀にモンゴル帝国が侵入すると主だった都市はことごとく破壊されてしまいます。

モンゴル帝国は陸続きの国家としては史上最大の帝国を築きますが、まもなく元、キプチャク・ハン国、イル・ハン国、チャガタイ・ハン国の4か国に分裂します。

 

モンゴル帝国によって破壊された中央アジアでしたが、復興期に大きな進歩を遂げます。

この時代、建築において大きな影響を与えたのがイル・ハン国とティムール朝です。

 

イル・ハン国がペルシア・トルキスタンの芸術の粋を集めて築いた計画都市がイランのソルターニーエ①で、特筆すべき建築物が1312年に竣工したオルジェイトゥ廟です。

八角形の集中式ドーム建築で、ドームは直径約38mを誇り、内外ふたつのドームが互いに支え合って自立する二重殻構造となっています。

ドームの形はタマネギの球根を思わせる「オニオン・ドーム(タマネギ・ドーム)」で、内部はターコイズ・ブルーの彩釉タイルや幾何学文様・装飾文様のアラベスクで覆われており、窓はイーワーンでムカルナス(鍾乳石を模した装飾)が見られます。

 

ティムール朝が築いたドーム建築がホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟②です。

平面プランは長方形で、エントランスは開放部が外を向く巨大なイーワーンとなっています。

オルジェイトゥ廟を参考にした二重殻オニオン・ドームが特徴で、やはり多様な装飾で飾られています。

二重殻オニオン・ドームはやがてペルシア、トルキスタン、インドで多用され、ルネサンスを経てヨーロッパのキリスト教建築にまで大きな影響を与えます。

※①世界遺産「ソルターニーエ(イラン)」

 ②世界遺産「ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟(カザフスタン)」

 

■チャハル・バーグ/四分庭園

世界遺産「ラホールの城塞とシャーリマール庭園(パキスタン)」、シャーリマール庭園
ラホールのシャーリマール庭園。3つの庭園からなり、南北2つの庭園はチャハル・バーグとなっています。世界遺産「ラホールの城塞とシャーリマール庭園(パキスタン)」構成資産 (C) Majid.baryar
インドの世界遺産「タージマハル」の中庭
インドの世界遺産「タージマハル」の中庭。水路で4分割されたチャハル・バーグで、さらに通路で細かく区画されています
世界遺産「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(スペイン)」、ヘネラリーフェ、アセキアの中庭
グラナダのヘネラリーフェ、アセキアの中庭。49×13mの空間は水路によって4分割されています。世界遺産「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(スペイン)」構成資産

砂漠やステップ(雨季にのみ草原が広がる亜熱帯高圧帯周辺の半砂漠地帯)が広がる中東や中央アジアでは、都市はオアシスや大河・湖、あるいは地下水が高くを流れる山の側で発展しました。

水や緑は非常に貴重で、逆に天国には水と緑があふれていると考えられました。

 

古代ペルシアでは庭園は「パイリダエーザ」と呼ばれ、庭は池泉と緑で飾られ、塀で囲まれていました。

楽園・天国を意味する「パラダイス」の語源です。

そして権力者たちは自らの力と豊かさを誇示するために各地に水と緑あふれる庭園を建設しました。

 

アケメネス朝(紀元前550~前330年)に起源を持つペルシア現存最古の庭園がパサルガダエ庭園※です。

ゾロアスター教でいう水・土・空・火の4元素をテーマに庭園を4分割して「チャハル・バーグ(四分庭園。十字庭園)」の起源となりました。

 

ペルシアにイスラム教がもたらされるとチャハル・バーグが飛躍します。

かつてアダムとイブが暮らしていた地上のパラダイス「エデンの園」には4つの川が流れており、地上を4つに分割していたと伝えられています。

チャハル・バーグはこの伝説と結びつけられて、庭園を十字状の水路によって4分割して天国を表しました。

※世界遺産「ペルシア庭園(イラン)」

 

<ペルシア型・イーワーン式モスク>

■チャハル・イーワーン

ペルシア型・イーワーン式モスクの平面プラン
ペルシア型・イーワーン式モスクの平面プランの例。左のピンクの円がオニオン・ドーム、その左の紫がミフラーブ。中央の4等分された中庭がチャハル・バーグで、各辺の中央に設置された4つの「コ」がチャハル・イーワーン、もっとも右の「コ」の字がエントランスのイーワーンと2本のミナレット
世界遺産「サマルカンド-文化交差路(ウズベキスタン)」、ウルグ・ベク・マドラサ
レギスタン広場のマドラサのひとつ、ウルグ・ベク・マドラサ。4つのイーワーンに囲まれたチャハル・イーワーン式の中庭で、小さなイーワーンが並んだ2階建ての回廊で囲われています。世界遺産「サマルカンド-文化交差路(ウズベキスタン)」構成資産

ペルシア・トルキスタンではアッバース朝期以降にイーワーンがモスク建築に採用され、急速に普及しました。

当初はエントランスに設置されたようですが、中庭や装飾などあらゆる場所にイーワーンが採り入れられました。

 

一例が中庭の四方をイーワーンで囲った「チャハル・イーワーン(4イーワーン)」です。

これらのイーワーンの開放部はいずれも中庭を向いており、庭を特別な空間に仕上げています。

 

チャハル・イーワーンの現存最古の例とされるのがイスファハンのジャーメ・モスク※です。

12~13世紀の創建で、礼拝堂は多柱室を備えたアラブ型、中庭のチャハル・イーワーンはペルシア型、南北の巨大なドームは廟建築の発展形で、インドの小塔チャトリも見られます。

千年以上にわたって発展を続け、「建築様式の博物館」といわれるほど多彩な様式が混在しています。

  

ペルシアのモスクでは礼拝堂に巨大なオニオン・ドームを冠しており、ミナレットも複数設置されるようになりました。

チャハル・イーワーン、礼拝堂ドーム、複数のミナレットがひとつの様式となり、すべてはシンメトリー(対称)に配置されました。

※世界遺産「イスファハンのジャーメ・モスク(イラン)」

 

<インド型・ムガル式モスク>

■ムガル帝国の廟建築

インドの世界遺産「デリーのフマユーン廟」
妻ハミーダが亡き夫フマユーンに贈ったインドの世界遺産「デリーのフマユーン廟」。ペルシア・トルキスタンの廟建築の流れをくんでおり、インド・ペルシア・トルキスタン・アラブの建築様式を融合させてムガル芸術の先駆けとなりました
インドの世界遺産「タージマハル」
インドの世界遺産「タージマハル」。集中式、二重殻オニオン・ドーム、チャハル・バーグ、大理石と赤砂岩のコンビネーション、イーワーンとチャトリの組み合わせなどはフマユーン廟を引き継いでおり、ムガル建築の完成形となっています

13世紀、マムルーク(トルコ人奴隷)出身のアイバクがインド初のイスラム王朝・奴隷王朝を打ち立てます。

このあと北インドは小国が続き、周囲では地方政権が乱立しましたが、これらを統一したのがムガル帝国です。

 

16世紀にムガル帝国を興した初代皇帝バーブルはトルキスタンの出身で、ティムール朝を築いたティムールの玄孫(やしゃご。孫の孫)。

このようにインド北部は古くから中央アジアと結び付きが強く、互いに影響を与え合っていました。

 

バーブルの跡を継いだムガル帝国第2代皇帝フマユーンは、インド統治にあたってイスラム教徒とヒンドゥー教徒の和解に腐心します。

フマユーンは志半ばで倒れますが、妻ハミーダは夫のためにイスラム教とヒンドゥー教の文化の粋を集めた墓廟・フマユーン廟※を建設します。

 

フマユーン廟は巨大なドームを冠した集中式の廟建築で、ペルシア・トルキスタンの廟建築の流れをくんでいます。

ドームは白大理石造の二重殻オニオン・ドームで、ドーム頂上に相輪が見られます。

尖頭アーチのイーワーンが連なる東西南北の各ファサードはイスラム教建築の影響で、赤砂岩と白大理石の組み合わせや屋根に見られる「チャトリ」と呼ばれる小塔はヒンドゥー教建築の意匠です。

正方形の庭園の東西南北にはイーワーン式の門が置かれていてチャハル・イーワーンとなっており、庭園は水路によって4分割されたチャハル・バーグで、中央に廟本殿が座しています。

※世界遺産「デリーのフマユーン廟(インド)」

 

[関連記事]

世界遺産と世界史28.西アジアとインド世界の確立

 

■インド型・ムガル式モスク

インド型・ムガル式モスクの平面プラン
インド型・ムガル式モスクの平面プランの例。アラブ型の広い多柱室やペルシア型の緑豊かな中庭は見られず、石敷が一般的です。中庭はチャハル・イーワーンで、南の正門には巨大な楼門ダルワーザーが置かれています
世界遺産「ファテープル・シークリー(インド)」
世界遺産「ファテープル・シークリー(インド)」。左がの金曜モスク、ジャーマー・マスジド。中央の白い建物はサリーム・チシュティー廟で、その右がイスラーム・ハーン廟 (C) KenWalker
世界遺産「タッタとマクリの歴史的建造物群(パキスタン)」、ジャーマー・マスジド
タッタの金曜モスク、ジャーマー・マスジド。チャハル・イーワーン式で広い多柱室を有し、周囲を列柱廊が取り囲んでいます。世界遺産「タッタとマクリの歴史的建造物群(パキスタン)」構成資産 (C) Saqib Qayyum

ムガル帝国の廟建築はペルシア・トルキスタンの様式を大胆に採り入れていますが、モスクについてはアラブの影響も見られます。

 

第3代皇帝アクバルが築いた計画都市ファテープル・シークリー①のジャーマー・マスジド(金曜モスク)は3つのオニオン・ドームと立ち並ぶチャトリ群、イーワーンのファサード、多柱室と、アラブ型やペルシア型、ヒンドゥー教建築を混在させた折衷式のモスクとなっています。

 

「シャー・ジャハーンのモスク」と呼ばれるタッタ②のジャーマー・マスジドもアラブ型とペルシア型の折衷様式です。

オニオン・ドームを冠する礼拝堂は多柱式で、列柱廊が中庭を取り囲んでいます。

ここまではアラブ型ですが、中庭は33ものイーワーンの回廊に囲まれた独特の空間で、緑も泉亭もありません。

中庭には何もありませんがその東にはそれとは別にチャハル・バーグの庭が広がっており、緑と水路で彩られています。

この辺りはペルシア型の影響です。

※①世界遺産「ファテープル・シークリー(インド)」

 ②世界遺産「タッタとマクリの歴史的建造物群(パキスタン)」

 

<トルコ型・中央会堂式モスク>

■トルコ型・中央会堂式モスク

トルコ型・中央会堂式モスクの平面プラン
トルコ型・中央会堂式モスクの平面プランの例。礼拝室の上部に平面的で巨大なドームを頂き、その周囲に多数の小ドームやハーフ・ドームを並べています。また、ミナレットを左右対称に並べ、全体を引き締めています
世界遺産「イスタンブール歴史地域(トルコ)」
ミマール・スィナンが設計したスレイマニエ・モスク。手前は中庭と泉亭。扁平なドームと半円アーチが連なる神々しい空間が広がっています。世界遺産「イスタンブール歴史地域(トルコ)」構成資産
世界遺産「イスタンブール歴史地域(トルコ)」、スレイマニエ・モスク
スレイマニエ・モスクの内部。黄色い円部分が中央のドームで、その下に見える逆三角形のアーチ構造がドームを支えるペンデンティブ。中央上部にはハーフ・ドームも見えます。世界遺産「イスタンブール歴史地域(トルコ)」構成資産

西暦330年以来、ローマ帝国あるいはビザンツ帝国(東ローマ帝国)の首都として繁栄したコンスタンティノープルですが、1453年にオスマン帝国のメフメト2世の手によって落城し、ビザンツ帝国は滅亡します。

 

メフメト2世はコンスタンティノープルをイスタンブールに改称して帝国の首都として整備します。

正教会の最高機関であるコンスタンティノープル総主教庁(全地総主教庁)が置かれていたハギア・ソフィア大聖堂はアヤ・ソフィア※としてモスクに改修され、ミフラーブやミンバル、ミナレットが取り付けられました。

 

オスマン帝国の建築は基本的にペルシアやアラブ、トルキスタンの影響を強く受けたものでした。

しかし16世紀前半、オスマン史上最高の建築家といわれるミマール・スィナンが登場してこの流れが変わります。

 

ミマール・スィナン初期の傑作が皇帝スレイマン1世の命で建設されたスレイマニエ・モスク※です。

特筆すべきは礼拝堂の屋根で、直径27.5mのドームを中心におびただしい数のドームやハーフ・ドーム、アーチを連ねて礼拝堂を覆い、柱を最小限に抑えています。

こうしたドームやステンドグラスはアヤ・ソフィアをはじめとするビザンツ建築の影響を強く受けたもので、柱が林立するアラブ型・多柱式の暗い礼拝室とは対照的に、光あふれる神々しい空間を築き上げました。

※世界遺産「イスタンブール歴史地域(トルコ)」

 

[関連記事]

世界遺産と世界史28.西アジアとインド世界の確立

 

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シリーズ「世界遺産で学ぶ世界の建築」、第18回はイスラム装飾を紹介します。

 


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『朝日新聞 世界の扉』記事執筆。『Fine』自然遺産特集執筆。『地球の歩き方 MOOK 世界のビーチBEST100』『ノジュール』に旅のスペシャリスト・達人として参加。『PEN』でアフリカの世界遺産執筆。『MONOQLO』世界遺産特集取材協力。『女性セブン』で日本の世界遺産を解説。エクスナレッジ『聖地建築巡礼 世界遺産から現代建築まで、73の聖地を巡る旅』、洋泉社ムック『負の世界遺産』執筆。RKBラジオ、FM TOKYOで世界遺産特集出演。その他企業・大学広報誌等。

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以下続く。

 

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<世界遺産ランキング集>

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<UNESCOリスト集>

日本の遺産リスト

無形文化遺産リスト

世界の記憶リスト

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ユネスコエコパーク・リスト

世界ジオパーク・リスト

創造都市リスト

 

<世界遺産の見方>

知性的鑑賞法

感性的鑑賞法

異文化理解の方法論

正しい・間違いの基準

星と大地と古代遺跡

 

<味わう世界遺産>

.王様のワイン トカイ

.命の水 テキーラ

.ポルトガルの宝石 ポート

.神の贈り物チョコレート

 

<世界遺産で学ぶ世界史>

01.宇宙と地球の誕生

02.大陸の形成

03.地形の形成

04.生命の誕生

05.生命の進化

06.人類の夜明け

07.文明の誕生

08.エジプト文明

09.インダス文明

10.中国文明

以下続く。

 

<世界遺産で学ぶ世界の建築>

01.建築の種類1:城と宮殿

02.建築の種類2:宗教建築

03.建築の種類3:メガリス

04.木造建築の基礎知識

05.石造建築の基礎知識

06.ギリシア建築

07.ローマ建築

08.ビザンツ/ビザンチン建築

09.ロマネスク建築

10.ゴシック建築

以下続く。

 

<世界遺産写真館>

1.文化交差路サマルカンド1

2.文化交差路サマルカンド2

3.アッパー・スヴァネティ

4.グラナダのアルハンブラ宮殿1

5.グラナダのアルハンブラ宮殿2

6.コトル

7.プレアヴィヒア寺院

8.福建の土楼1

9.福建の土楼2

10.フォンニャ=ケバン国立公園1

以下続く。

 

<世界遺産攻略法>

1.世界遺産検定攻略の理念と背景

2.世界遺産検定の概要

3.試験戦略の一般論

4.試験戦略の理念

5.世界遺産検定の受検戦略

6.試験勉強の3要素

7.世界遺産検定 最効率学習法

8.時事問題・世界史・検定講座

9.マイスター試験の概要

10.マイスター試験問1・2対策

11.マイスター試験問3対策

12.マイスター試験時間術&解答術

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