世界遺産と世界史1.宇宙と地球の誕生

<宇宙と地球の起源>

■遠ざかる宇宙

アメリカの世界遺産「グランドキャニオン国立公園」と天の川
アメリカの世界遺産「グランドキャニオン国立公園」で見上げた天の川。天の川は銀河系中心部の星々を映し出したもので、銀河系は「天の川銀河」とも呼ばれています

宇宙はいまから137億年前に誕生したといわれています。

あまりに遠大でよくわかりません。

わからないけれども、せっかくだから宇宙のはじまりについて少し触れてみようと思います。

 

ぼくは小さな頃からよく星を見ていました。

宇宙の星々、特に遠い銀河を観察しているうちに、みんな本来の色より赤くなっていること(赤方偏移)に気づいた人がいます。

エドウィン・ハッブルです。

ハッブル宇宙望遠鏡
ハッブルの功績を記念して命名されたハッブル宇宙望遠鏡。地上600kmを飛行しており、星々の間を動く姿を肉眼で観察できることもあります

救急車の音。

近づいてくる救急車の音は高く、遠ざかる救急車の音は低い――

ドップラー効果です。

もとの音の高さがわかっていれば、サイレンの音の高さで近づいているのか遠ざかっているのか知ることができます。

 

ハッブルは光でも同じことが起こると考えました。

そして出した結論がこれです。

「すべての銀河は遠ざかっている!」

 

考えられることはふたつ。

  1. 地球が宇宙の中心にあって、そこからすべての銀河が遠ざかっている
  2. 宇宙全体が膨張している

 

2を説明するときによく出される例が風船です。

膨らませる前の風船の表面にたくさんの点を描きます。

 

膨らませる前は点と点はすごく近くにあります。

でも風船を膨らませると距離はどんどん離れていきます。

どの点を中心に取っても、すべての点が他の点から離れていくように観測できます。

さらに宇宙を観測すると、遠くにある銀河ほど速く遠ざかっていることがわかりました。

こうなると1では説明が難しくなります。

で、2が正解だろうと考えられるようになったわけです。

 

このように、科学はよりシンプルな仮説を「正しい」と判断します。 

科学は「真実か否か」を問うことはないし、問うことができません。

宇宙膨張の考え方
星A~Dはそれぞれ距離50の位置にありましたが、宇宙が膨張して各100に伸びてしまいました。 星Aから見るとBは50だけ遠くなりましたが、Cは100、Dは150も遠ざかったことになります。 遠くにある銀河ほど速く遠ざかっているように見える理由です

■ビッグバン仮説

宇宙が膨らんでいるなら最初は1点だったのではないか?――

ビッグバン仮説です。

 

宇宙のすべてが狭い範囲にあったなら、そこはムチャクチャ熱かったはず。

だとしたら当時の熱(電磁波)はいまでも少しは残っているはずです。

そしてその熱は宇宙のどこからも等しく降り注がなければなりません。

ジョージ・ガモフという物理学者がそう予言しました。

 

あるとき。

アメリカでペンジアスとウィルソンというふたりの科学者がアンテナから雑音を消す方法を一所懸命に考えていました。

次々と雑音を消していったふたりでしたが、どうしても消せない雑音があることに気づきます。

その雑音、つまり電磁波は宇宙のどの方向からも等しく降り注いでいました。

 

「それってガモフが予言したあれじゃね?」

この電磁波は宇宙背景放射と呼ばれています。

 

宇宙の遠ざかり具合とこの背景放射を細かく観測した結果、宇宙はおよそ137億前に誕生したと考えられるようになりました。

では、宇宙の大きさは?

 

現在約134億年前の銀河が発見されています。

当然その光は約134億年前にその銀河を出発したことになります。

そして地球から観測できるもっとも古い光は、宇宙がはじまった直後、137億年前の光ということになります。

 

ところが。

ビッグバンが起こった直後、宇宙は光の数十倍の速さで膨張したと考えられています。

そして現在も宇宙はすさまじいスピードで膨張しています。

134億年前のその銀河は134億光年先にあったわけではないし、いまは膨張によってもっとずっと遠くにあるということになります。

もしその銀河がいまも存在していたら、322億光年先にあることになるそうです。

 

結論だけ。

理論上、地球に届くもっとも古い光は137億年前に4,200万光年先にあった星の光で、その場所は宇宙が膨張した結果、現在は470億光年彼方にあります。

本来なら4,200万年あれば地球に届くはずですが、宇宙が膨らんでいるおかげで137億年もかかってしまう、ということであるようです。

 

これが人間に観測可能な宇宙の大きさです。

観測可能とかじゃなくて、実際どれくらい大きいの?――

 

いろいろな説があってよくわかっていません。

800億光年とかそれより大きいとかいろいろいわれています。

 

ふぅ。

■地球の誕生

そして46億年前。

銀河系の片田舎を漂っていたガスが集まってひとつの大きな恒星と、その周囲を巡る惑星が誕生しました。

太陽系です。

この年代は隕石に含まれるウランの半減期を利用して測定したもので、隕石が作られたのと同じ年代に地球も作られたはずだと考えられています。

 

できたての地球は溶岩に覆われていました。

岩石はドロドロに溶かされ、また冷えた岩もマグマの層に落ち込んだり、風雨で粉々に砕かれてしまうために、古い時代の岩石は地球上ではなかなか見つかりません。

2010年に探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワのサンプル採取が確認されたとき、太陽系誕生、あるいは地球誕生の謎が明らかにされるだろうといわれましたが、それにはこんな理由があったのです。

といっても、40億年を超える岩石の証拠も見つかっています。


 * * *


今回は世界遺産はまったく登場しませんでした。

次回からいろいろ登場する予定です。

 


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『朝日新聞 世界の扉』記事執筆。『Fine』自然遺産特集執筆。『地球の歩き方 MOOK 世界のビーチBEST100』『ノジュール』に旅のスペシャリスト・達人として参加。『PEN』でアフリカの世界遺産執筆。『MONOQLO』世界遺産特集取材協力。『女性セブン』で日本の世界遺産を解説。エクスナレッジ『聖地建築巡礼 世界遺産から現代建築まで、73の聖地を巡る旅』、洋泉社ムック『負の世界遺産』執筆。RKBラジオ、FM TOKYOで世界遺産特集出演。その他企業・大学広報誌等。

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