私的旅行術 準備編1:パスポートとビザの種類・取り方

シリーズ「私的旅行術 準備編」では、海外旅行の渡航前の準備に関する技術を紹介したいと思います。

今回は海外旅行で必ず必要になるパスポート(旅券)とビザ(査証)について解説します。

 

* * *

<パスポート=旅券とは何か?>

 

パスポートは各国政府が発行する国籍や氏名・身分の証明書です。

海外に行く際には国籍のある国のパスポートを持参しなければなりません。

 

日本のパスポートは都道府県のパスポートセンターや市区町村の役所で発行しています。

海外に行く前に必ず取得しておきましょう。

 

パスポートには以下のような種類があります。

普通の旅行者であれば、基本的には5年旅券か10年旅券を選ぶことになります。

 

■パスポートの区分

  • 一般旅券:5年旅券

12歳以上に発行される一般的なパスポート。有効期間は5年

  • 一般旅券:10年旅券

20歳以上に発行される一般的なパスポート。有効期間は10年

  • 子供旅券

12歳未満のための一般的なパスポート。有効期間は5年

  • 公用旅券

議員・公的機関職員・JICA職員等に対して発行されるパスポート

  • 外交旅券

総理大臣や最高裁長官・皇族等に対して発行されるパスポート

  • 緊急旅券

緊急時に発行されるパスポート

 

現在発行されているパスポートはICチップの入ったいわゆるIC旅券です。

パスポートの中に厚い板のようなページがあると思いますが、ここにICチップが埋め込まれています。

ICチップにはパスポート上に記載されているのと同じデータ、氏名・国籍・生年月日・旅券番号・顔写真等が記録されています。

 

入出国する際に、各国のイミグレーション(出入国管理)でパスポートを見せて入国審査を受けると、入国スタンプや出国スタンプが押されます。

これで入国や出国が完了したことになります。

 

海外旅行者が覚えておいた方がよいパスポート関係の知識を列挙しましょう。

 

■パスポート関連TIPS集

  • 海外では外出時にパスポートかコピーをつねに持ち歩く
  • パスポートの記載事項(氏名や本籍地)に変更があった場合は変更を届けるか新規発行を受ける
  • 所持人記入欄以外(査証欄等)に書き込みをしてはならない
  • 所持人記入欄は未記入でも使用できるが、緊急時・紛失時のために書いておく方がベター
  • 所持人記入欄の修正は届け出不要で、二重線等で各自で行う
  • 航空券記載の氏名とパスポート記載の氏名は一致しなければならない(スペルや旧姓等に注意)
  • 多くの国に行く人はパスポート・ナンバー(旅券番号)を記憶しておくと便利
  • 紛失したり盗難にあった場合はすみやかに大使館や領事館に届け出て再発行を受ける(パスポートがないと出国できない)
  • 入出国スタンプやビザで査証欄がいっぱいになる前に、増補(ページの追加。1度だけ可能)か新規発行を受けなければならない
  • ビザの免除や発行の条件として、パスポートの残存有効期間を3か月以上や6か月以上等と指定している国が多い。有効期間が1年を切ったら新規発行を考えた方がよい

 

なお、パスポートの取り方や申請先については下記の外務省公式サイトを参照してください。

 

[関連サイト]

パスポートの申請から受領まで(外務省公式サイト)

パスポート申請先都道府県ホームページへのリンク(外務省公式サイト)

 

* * *

<ビザ=査証とは何か?>

 

ビザは自国民以外の人物に与える入国許可証です。

基本的に、外国に行く際にはその国のビザを取得しなければなりません。

 

ただし、一定の条件の下でビザが免除されたり、その国に到着したときに空港や国境でビザが取れることがあります。

日本に対する信頼は非常に厚く、日本人は190か国以上についてビザを事前に取ることなく渡航が可能だといわれています。

 

いずれにせよ、海外旅行の前にビザの必要の有無・種類や取り方について、最新情報をチェックするようにしましょう。

こうした情報はガイドブックなどにも書かれていますが、最新情報は各国の大使館が発信しています。

以下に各国大使館へのリンク集を貼り付けておきましょう。

 

[関連サイト]

駐日外国公館ホームページのリンク集(外務省公式サイト)

 

ビザにはさまざまな種類があります。

以下で紹介していきましょう。

 

■渡航目的によるビザの区分

  • ツーリスト・ビザ(観光ビザ)

観光のためのビザ

  • トランジット・ビザ(通過ビザ)

その国を通過するためのビザで、数時間~数日と短期に限られる

  • ビジネス・ビザ(商用ビザ、コマーシャル・ビザ)

仕事の視察・打合せ・会議等、利益を伴わない出張に対するビザ

  • ワーキング・ビザ(就労ビザ)

当該国で働いて利益を得るためのビザ

  • ステューデント・ビザ(学生ビザ、スタディ・ビザ)

留学等、比較的長期にわたる修学・研究活動のためのビザ

  • その他のビザ

ワーキングホリデーやボランティア、就労者家族、メディア、永住者、移民・難民、大使や領事等に対しては特別なビザが用意されていることがある

 

海外旅行で取得するのは多くの場合、ツーリスト・ビザです。

もっとも一般的で安価かつ審査も簡単です。

 

ただし、旅行の仕方によっては留学用のステューデント・ビザや通過するためのトランジット・ビザを取得するケースもあるかもしれません。

 

■渡航回数によるビザの区分

  • シングル・ビザ(一次ビザ)

一度だけ入国できるビザ

  • ダブル・ビザ(複次ビザ)

二度の入国に対応したビザ

  • トリプル・ビザ(三次ビザ)

三度の入国に対応したビザ

  • マルチプル・ビザ(数次ビザ)

有効期間内であれば何度でも入国できるビザ

 

一般的な海外旅行ではシングル・ビザがあれば十分です。

複数回の入国を認めるビザは、その国に戻ってくる場合に取得します。

たとえばカンボジアからラオスやベトナムに行ってまたカンボジアに戻ってくる場合、カンボジアのダブル・ビザやマルチプル・ビザがあればひとつのビザで事足ります。

ただ、便利なビザほど高価になっていきます。

 

■発給場所によるビザの区分

  • 大使館ビザ

大使館や領事館で発給されるビザ

  • アライバル・ビザ

空港や港・国境等、到着地のイミグレで発給されるビザ

  • e-VISA(イー・ビザ)

インターネット上で発給されるビザ

 

どこでビザが取得できるかは国によって異なります。

たとえば先にも例を出したカンボジアの場合、上のいずれの方法でもビザの取得が可能です。

東京の大使館や大阪の領事館でも取れますし、空港や国境でも可、ネットでも取得できます。

ただし、取る場所によってビザの種類が限られたり、値段が異なることがあります。

最近ではe-VISAといって、大使館に出向く必要がない発給方法も普及してきました。

 

■形態によるビザの区分

  • スタンプ・タイプ

パスポートにスタンプを押すタイプ

  • シール・タイプ

パスポートにシールを貼るタイプ

  • 別紙タイプ

パスポートとは別に証明書やカードを発行するタイプ

  • 電子認証タイプ

パスポートとは別にオンライン上で認証・発行するタイプ

 

形態としてはスタンプやシールが一般的です。

査証欄にスタンプやシールのスペースがないとビザが発給されないので、いっぱいになる前にページを増やす増補(1度のみ)か新規発行をしておきましょう。

 

■ビザの免除条件・発給条件の例

  • 滞在目的
  • 滞在期間
  • パスポート残存有効期間
  • 入国場所
  • その他

 

日本人に対しては150以上の国々がビザを免除し、40以上の国がアライバル・ビザを発給しています。

これらの国については事前にビザを取る必要はない、ということになります。

 

ただ、ビザの免除や発給には必ず条件があって、たとえば「90日以内の観光に限る」「指定された空港や港からの入国に限る」「入国時にビザの有効期間が6か月以上残っていること」などと定められています。

この他に、電子渡航認証や予防接種の証明書、出国チケット、銀行預金の残高証明等を要求する国もあったりします。

 

国によってはビザを申請してから発行まで数週間かかることもあります。

その間パスポートを預ける必要があったりするので、特に複数国のビザを取る際は日程に注意が必要です。

 

* * *

 

<電子渡航認証とイエローカードについて>

 

■電子渡航認証とは何か?

 

アメリカ、カナダ、オーストラリアなどにビザなしで行く際に、渡航前に申請しておく必要があるのが「電子渡航認証」です。

どこの国でも出入国の際には入国カードや出国カードを書くものですが、これをネット上で事前に行うことを義務付けた制度です。

 

アメリカではESTA、カナダではeTA、オーストラリアではETASと呼ばれています。

場合によってはビザを持っていても必要になることがあるので、各国の最新情報を確認しておきましょう。

 

[関連サイト]

 

■イエローカードとは何か?

 

アフリカや南アフリカでは、入国の際に黄熱ワクチンの予防接種を受けたことを証明するイエローカード(国際黄熱予防接種証明書)の提示を義務付けている国があります。

黄熱の拡散を防ぐための予防策なので、アフリカや南アメリカに行く予定のある人は必要国か否かを調べて、必要に応じて予防接種を受けておきましょう。

陸路で移動する場合、必要国の周辺国でもイエローカードが取れることが多いです。

 

なお、予防接種が受けられる国内の検疫所や、イエローカードが必要な国は下記サイトに掲載されています。

 

[関連サイト]

 

* * *

 

<特殊な入国事情のある国々の例>

 

参考までに、少々特殊な入国事情のある国々の例を紹介しましょう。

  • シェンゲン協定加盟国

EUのシェンゲン協定加盟国では領域(シェンゲン領域)内についてビザを免除し、入国・出国審査を廃止している。つまり、領域内では他国に行ってもイミグレを通らないし、スタンプが押されることもない。このため領域に入る国と出る国の空港や国境等で入出国の手続きを行う

  • 敵対国

敵対している国々の間では、相手国の訪問履歴(ビザやスタンプ)があるとビザを発給しなかったり入国を拒否することがある。一例がイスラエルに対するいくつかのイスラム国家、ナゴルノ・カラバフに対するアゼルバイジャン

  • 観光を認めていない国

サウジアラビアはイスラム教徒以外の個人旅行を認めていないため、個人に対して観光ビザを発給していない。北朝鮮やトルクメニスタンのように観光をツアーに限ったり、招待者を必要とするなど著しく規制している国もある。また、国交がなかったり戦争中であるため入国が難しい国もある

 

* * *

<オーバーステイとビザラン>

 

ビザが免除される期間やビザで認められた期間を超えて滞在することを「オーバーステイ」といいます。

オーバーステイになると1日あたりで定められた罰金を科せられたり、悪質である場合は身柄拘束されることもあるので注意が必要です。

 

ビザ免除国やアライバル・ビザが取得できる国で、隣国との入出国を繰り返して長期滞在する外国人がいます。

たとえばタイでは30日、ラオスでは15日、マレーシアでは90日以内の観光に対してビザが免除されています。

このためタイ-ラオス、タイ-マレーシア間を往復することでビザなしの長期滞在が可能になります。

これを「ビザラン」というのですが、長期になると観光目的であるかどうか怪しく、合法とはいえなくなってきます。

 

世界的に、ビザランに対する取り締まりは厳しくなる傾向にあり、たとえばタイでは30日の滞在を何度も繰り返すと入国を拒否されることもあるようです。

ただ、ラオスのように取り締まりを厳しく行っていない国や国境もあるため、滞在しつづける外国人がいるのも事実です。

 

 

次回は航空会社と航空便の種類について解説します。

 


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