世界遺産写真館23.イチャン・カラ1(ウズベキスタン)
中央アジアに広がっているのは広大なステップ(雨季にのみ草原が広がる亜熱帯高圧帯周辺の半砂漠地帯)と砂漠です。
バスで移動していると何十時間も延々と同じ景色が続くその様に驚かされたものでした。
こうした乾燥地帯で暮らすのはたいへんですが、移動するのは比較的容易です。
古来、ステップや砂漠に花開いたオアシス都市をつないで盛んに貿易が行われていました。
いわゆるシルクロードです。
ウズベキスタンは世界遺産リストに登録されているサマルカンドやブハラ、シャフリサブスといった美しいオアシス都市で知られますが、ヒヴァもそのひとつです。
ヒヴァは中国とヨーロッパをつなぐ東西回廊の拠点のひとつであるだけでなく、南のペルシアやアラブ諸国へと続くカラクム砂漠の玄関口として大いに繁栄しました。
ヒヴァは紀元前からの歴史を持つ古都ですが、城郭都市が本格的に整備されたのはヒヴァ・ハン国の首都がクニヤ・ウルゲンチ(トルクメニスタンの世界遺産)からヒヴァに遷された17世紀以降です。
17~18世紀にそれまでの町が大幅に改修・増築され、王都にふさわしい威容を勝ち取りました。
町は城壁に囲われた内城=イチャン・カラと、その外に広がる外城=デチャン・カラからなり、イチャン・カラは当時そのままの街並みがいまに伝えられています。
世界遺産の資産(プロパティ。登録範囲)となっているのはこのイチャン・カラで、高さ約10mの二重の城壁と51の記念建造物、250の住居から成立しています。
個人的にはウズベキスタンのオアシス都市の中でももっとも好きな町のひとつです。
個々の建物の美しさではサマルカンドのものには及びませんが、イチャン・カラ全体が中世の中央アジアそのもので、当時に迷い込んだような雰囲気が味わえます。
人々は素朴で非常に人懐こく、しばしば話し掛けられ、何度も握手を求められたり一緒に写真をお願いされました。
こんな温かい交流もイスラム圏の特徴のひとつと言えるでしょう。
■世界遺産データ
イチャン・カラ
Itchan Kala
ウズベキスタン
1990年、文化遺産(iii)(iv)(v)
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