世界遺産写真館20.アンコール1(カンボジア)
「オススメの世界遺産はどこですか?」
よくこんなことを尋ねられます。
でも、ピラミッドやマチュピチュを見て「よくなかった」なんて言う人にも会ったことがあるので「人による」としか言いようがありません。
ただ、比較的アクセスしやすい海外の世界遺産でぼくが特に感銘を受けたものをたったひとつを選ぶとしたら、すぐに思い浮かぶのがカンボジアの「アンコール」です。
世界には明らかに他と異なる圧倒的な存在感を持つ世界遺産がいくつか存在します。
ピラミッドやマチュピチュ、モン=サン=ミシェル、ティカル、イグアスの滝などがそれに該当しますが、アンコールも確実にその中のひとつです。
それはアンケートやランキングなどにもよく表れていて、ぼくが関係した世界遺産のアンケート、All About 世界遺産「一生に一度は行きたい世界遺産ランキング」と「NHK探検ロマン世界遺産 プロが選ぶ!世界遺産ベスト30」でいずれも第3位で、こうしたランキングで必ずと言っていいほどベスト10には入ります。
実際に訪ねた人の感想をまとめたトリップアドバイザー「行ってよかった! 日本人に人気の海外観光スポットランキング」に至っては、2011~16年のあいだ1位をほぼ独占しています(2014年だけ2位)。
すごいですね。
この遺跡が観光地として突出している理由は、規模、繊細さ、シチュエーションがいずれも世界最高レベルで同居しているためでしょう。
アンコール朝が築いた首都ヤショダラプラ(通称アンコール)の都市遺跡の中でもっとも有名なのが「アンコール・ワット」ですが、この遺跡は訪ねることができる数十、数え方によっては数百の遺跡のひとつにすぎません。
アンコール・ワット単独で、たとえばインドネシアの世界遺産であるボロブドゥールに匹敵するとぼくは思うのですが、アンコール・トム、タ・プロームをはじめこのレベルの遺跡がいくつも点在しています。
こうした壮大な規模に加え、彫刻やレリーフは細部に至るまで仕事が施されていてきわめて繊細華麗です。
じっくり見ようと思えばアンコール・ワットひとつで1日つぶれてしまうほどで、規模と繊細さが高いレベルで融合した希有な遺跡と言えるでしょう。
加えてジャングルや草原の中というシチュエーションがまたすばらしく、タ・プロームやベン・メリアのように木々が絡みつき、苔に覆われた姿は日本でいう侘・寂(わび・さび)を感じさせてくれます。
アンコール・ワットは永久(とわ)なる神々の世界を描き出した聖域ですが、自然に侵食されたこれらの遺跡からはそれと対照的に仏教でいうところの刹那滅や刹那生といった瞬間性を感じます。
永久と瞬間の融合――
これが、ぼくがアンコールから感じるイメージです。
さて、写真です。
それほどの規模であるということで、3回にわたって世界遺産「アンコール」とその周辺の遺跡を紹介します。
第1回はアンコール・ワットとタ・プローム、第2回はアンコール・トムとその周辺、第3回はシェムリアップ近郊の遺跡の写真を掲載していきます。
特に第3回では世界遺産「アンコール」のみならず、カンボジアの世界遺産暫定リストに記載されているベン・メリアや、2023年に世界遺産登録された「コー・ケー:古代リンガプラあるいはチョック・ガルギャーの考古遺跡」の写真も紹介します。
■世界遺産データ
アンコール
Angkor
カンボジア王国
1992年、文化遺産(i)(ii)(iii)(iv)
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