世界遺産写真館16.古都京都の文化財1(日本)
世界を旅すれば旅するほど日本のすばらしさを感じます。
でもそれはぼくが日本文化の深さの一端を知っているからであって、他の文化の深さを理解することができればそれぞれの文化に同じことを感じるのでしょう。
文化とは、生活そのものです。
生活ですから日々の「生」の上にあまねく広がるものであって、意図的に一部を切り出したり守ったり伝えたりできるものではありません。
一方で、文化はたった一つの建物や一つの衣装、一つの食事で表現されるものでもあったりします。
その建物、その衣装、その食事は、その土地とその土地に住む人々が長い歴史の中で生み出してきた世界観であり、文化の粋であるからです。
一つの建物、一つの衣装、一つの食事といった部分がつねに文化という総体を組み替えているのと同時に、文化という総体が一つの建物や一つの衣装、一つの食事といった部分に影響を与えてつねに再構成しているのです。
まるで生物の細胞が死につつも新たに生まれ変わりながら一つの体、一つの魂をつないでくように。
常若(とこわか)――
日本ではこのような考え方を常若といいます。
上賀茂神社や下鴨神社をはじめ、日本の多くの神社で神座を遷して定期的に建物を建て替える式年遷宮や式年造替が行われていますが、それはこんな世界観から来ています。
ぼくはこの考え方がとても好きです。
京都は平安時代から1,000年以上にわたって日本の首都でありつづけた古都です。
世界遺産「古都京都の文化財[京都市、宇治市、大津市]」の構成資産である17の寺社はさまざまな時代に創建されており、それぞれの時代の文化をいまに伝えています。
といっても、そうした文化の解釈は現代の文化で捉えた姿にすぎず、その一方で現代の文化もまたそうした文化から影響を受けて変容しています。
それぞれの建物は過去の文化に属していたものであり、同時に現代の文化にも所属して、人々の生活に合わせてつねにその姿を変えているのです。
京都――
ぼくはこの町、特に17の寺社を訪れるとこの常若を強く感じます。
それはやはりここが長きにわたって日本の文化の中心だったからなのでしょう。
ぼくは世界のさまざまな文化と接して世界の見方を変え、新しい見方でもって京都を捉えることで新しい京都に気づきます。
そして京都はぼくに新しい日本の見方を教え、その新しい見方で世界を見ることで世界がまたその姿を変えていくのです。
こうして世界はつねに変容し、それに対応してぼくも変化を続けます。
世界とは、あるいは生命とは、生々流転を繰り返すこのようなダイナミズムそのものなのでしょう。
仏教でいうところの刹那滅・刹那生ですね。
ぼくにとって京都はその象徴なのかもしれません。
○「古都京都の文化財」構成資産
- 上賀茂神社(賀茂別雷神社)
- 下鴨神社(賀茂御祖神社)
- 二条城
- 東寺(教王護国寺)
- 西本願寺
- 清水寺
- 醍醐寺
- 延暦寺
- 龍安寺
- 慈照寺(銀閣)
- 鹿苑寺(金閣)
- 仁和寺
- 天龍寺
- 高山寺
- 西芳寺(苔寺)
- 平等院
- 宇治上神社
さて、今回から2回にわたって日本の世界遺産「古都京都の文化財[京都市、宇治市、大津市]」の写真を紹介していきます。
一部世界遺産以外の寺社の写真を含みますが、その旨は記しておきます。
■世界遺産データ
古都京都の文化財[京都市、宇治市、大津市]
Historic Monuments of Ancient Kyoto (Kyoto, Uji and Otsu Cities)
日本
1994年、文化遺産(ii)(iv)
[著作権について]
- 写真の無断転載を禁じます(まとめサイトへの写真掲載もお断りします)
- 写真にはすべて複数の透かしを入れております
- 無断使用については有力写真スタジオの数倍額を請求いたします
* * *