恋する世界遺産14:天国にいちばん近い島 ニューカレドニア

大昔から、地球の大陸や島々は、くっついたり離れたりを繰り返しながら生命を育んできた。

 
10億年前、陸地という陸地はロディニアと呼ばれる超大陸に集まっていた。
6億年前、ロディニアは分裂し、ゴンドワナやローレンシアなどの大陸が誕生した。
3億年前、分裂した大陸が集まりだして、今度はパンゲアと呼ばれる大きな大きな大陸にまとまった。
2億年前、ゴンドワナはふたたびパンゲアから独立し、細かく分裂を繰り返して、やがてオーストラリアや南極、アメリカなどの大陸を生み出した。

 

そして1億年前。
オーストラリアから島のかけらが離れ、5千万年前、さらにその島からニューカレドニアが分かれて漂流をはじめた。
氷河期が訪れたとき、海の水位が下がって多くの大陸が陸続きになり、生命たちが頻繁に交流したが、ニューカレドニアは太平洋にポツリと浮かび続けていた。
交流はあまりなかったけれど、豊かな海と暖かな気候に恵まれたニューカレドニアは生命たちに愛された。
陸の上も、海の中も、恐竜時代の思い出を引き継ぐ動植物たちで溢れかえり、大いに繁栄した。

ニューカレドニア

1万年前、人間がこの生命の楽園にたどり着いた。
見たことも聞いたこともない花やサンゴが咲き乱れ、青い海と青い空に挟まれたその島々は、きっと天国のように思われたに違いない。

「海をね、丸木舟をこいで、ずうっとずうっと行くんだ。するとね、地球の、もう先っぽのところに、まっ白な、サンゴで出来た小さな島が一つあるんだよ。それは、神さまのいる天国から、いちばん近い島なんだ。地球のどこかで神さまをほしがっている人があると、神さまは、いったんそこに降りて、島の人に丸木舟を出してもらって、日本へ来たり、アメリカへ行ったりするんだよ。だからその島は、いつ神さまがとびおりても痛くないように、花のじゅうたんが一面にしいてあって、天に近いからいつもお日さまを浴びて、明るくて、あったかいんだよ。その島の人たちが黒いのは、どこの国よりもお日さまをいっぱいもらっているからなんだよ。その島の人たちは、神さまと好きなだけ逢えるから、みんなみんな幸せなんだ」

(森村桂『天国にいちばん近い島』角川文庫より)

ニューカレドニア

お腹が空いたら枝もたわわに実る果物や群れをなして泳ぐ魚を食べればいい。
宝石がほしければ花や貝やサンゴを眺めたり、夜空を見上げて無数に輝く星空を指させばいい。
島の人々は、物を所有したり、幸不幸を考える必要もないほど幸福で、いつも神と生命に囲まれて生き、いつも神と生命に感謝して生きてきた。

「マンゴーも、パパイアも、ヤシの実も、ニューカレドニアのどの島にもいっぱいなっている。どれを食べたって、だれも文句をいわないんだ。眠くなったら、ヤシの葉一枚しいただけで、常夏の島では誰も風邪なんかひかない。フランス人のように、家を建てて、わざわざせまっくるしくする必要はない、どこまでだって自分の屋敷だ。どこかに行きたければ、走ってる島の人の車を呼びとめればいい、たとえ方向がちがったって、いつかはそこに連れてってくれる。宝石がほしくなれば、ああ、この空にある。ダイヤモンドよりももっと明るい星がこんなにいっぱい輝いている。いっとう大きく光ったのを、自分のだってみんなにいえば、だれもとったりやしない。神さまがくれたんだ」

(同上)

ニューカレドニアには幸福が咲いている。その奇跡の景色を目にすれば、あなたもきっと……。

 

<data>

国名:フランス共和国

名称:ニューカレドニアのラグーン リーフの多様性とその生態系
   Lagoons of New Caledonia:Reef Diversity and Associated Ecosystems
登録:2008年
基準:自然遺産(vii)(ix)(x)
概要:ニューカレドニアの島々は起源をゴンドワナ大陸に持ち、約1億年前にオーストラリアと、5,000万年前にニュージーランドと分かれ、以来メラネシアに孤島のように浮かんでいる。独自の生態系を持ち、たとえば植物4,000種の80%近くが固有種だ。サンゴ礁の総延長1,600kmは世界第2位の規模を誇り、その6割が世界遺産に登録されている。


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