23/06/08：古代エジプトの死者の町サッカーラでミイラ工房や墓など発見相次ぐ

世界遺産NEWS 23/06/08：古代エジプトの死者の町サッカーラでミイラ工房や墓など発見相次ぐ

エジプトの観光・考古省は５月下旬、エジプトの世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡－ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」に含まれているサッカーラで２軒のミイラ工房と２基の墓を発見したことを発表しました。

今回はこのニュースをお伝えします。

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サッカーラは世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡－ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」の南北の中ほどにある遺跡地帯で、古代エジプトの死者の町＝ネクロポリスだった場所です。

ピラミッド発祥の地でもあり、紀元前2700～前2600年にはマスタバと呼ばれる直方体の墳墓を重ね、最古のピラミッドといわれるジェゼル王の階段ピラミッドが建設されました。

他にも11のピラミッドが点在しているのですが、荒涼たる砂漠にピラミッド群が立ち並ぶ姿はギザの大ピラミッド群に匹敵する壮大な景色でした。

そしてエジプトの観光・考古省は５月27日、サッカーラ北部で２軒のミイラ工房と２基の墓を発見したことを発表しました。

ミイラ工房はそれぞれ人間用と動物用と見られ、いずれも長方形で内部がいくつかの部屋に分かれています。

人間用の工房には2.0×0.5mの台が２つ備えられており、遺体を乗せて作業を行っていたようです。

動物用の工房には５つの小さな台が置かれており、ネコやサルのミイラも発掘されました。

他にも内臓を保管するための壺や防腐処理の道具と見られる青銅製の器具や繊維・薬剤、儀式用のオブジェなども発見されています。

時代的にはエジプト末期王朝第30王朝（紀元前380～前343年）とプトレマイオス朝（紀元前305～前30年）ということで、2,400～2,300年前のものということになります。

２基の墓は１基が古王国第５王朝（紀元前2500～前2350年頃）、もう１基が新王国第18王朝（紀元前1600～前1300年頃）時代のもので、前者が4,500年ほど前、後者が3,500年ほど前ということになります。

先ほどの工房から1,000～2,000年も離れていることになりますが、近くの場所からこれほど時代の異なる遺跡が発掘されることに驚きます。

古い方の墓の被葬者はネ・ヘスット・バという名の政府高官で、当人とその妻の名がヒエログリフ（古代エジプトの象形文字）で刻まれており、壁面は農業や狩猟・日常生活の様子を描いた壁画で飾られていました。

新しい方の墓の被葬者はメン・ケベルと呼ばれる神官で、やはり本人と妻の名前が書かれたヒエログリフと壁画に加え、墓の中には衣装やカツラ・石像などが収められていました。

サッカーラではこのところ発見が相次いでおり、今年１月に第５～６王朝の４基の墓、2022年５月には第６王朝の墓、2022年３月には古王国時代の５基の墓、2021年11月にはラムセス２世の時代のいくつかの墓、2021年１月には第６王朝の葬祭殿と５棟の倉庫・53の棺を収めた墓が見つかっています。

これからも発見が続きそうですね。

楽しみです。