世界遺産と世界史1.宇宙と地球の誕生

宇宙はいまから137億年前に誕生したと言われている。

よくわからない。

わからないけれども、せっかくだから宇宙のはじまりから勉強してみようと思う。

銀河系中心部を映す天の川
銀河系中心部の星々を映し出す天の川。私たちの住む銀河系は「天の川銀河」ともいう

ぼくは小さな頃からよく星を見ていた。

宇宙の星々、特に遠い銀河を観察しているうちに、みんな本来の色より赤くなっていること(赤方偏移)に気づいた人がいる。

エドウィン・ハッブルだ。


救急車の音。

近づいてくる救急車の音は高く、遠ざかる救急車の音は低い。

ドップラー効果だ。

もとの音の高さがわかっていれば、サイレンの音の高さで近づいているのか遠ざかっているのか知ることができる。

 

ハッブルは光でも同じことが起こると考えた。

そして出した結論がこれだ。

「すべての銀河は遠ざかっている!」

 

考えられることはふたつ。

  1. 地球が宇宙の中心にあって、そこからすべての銀河が遠ざかっている
  2. 宇宙全体が膨張している

 

2を説明するときによく出される例が風船だ。

膨らませる前の風船の表面に点々を書く。

点と点はすごく近くにある。

でも風船を膨らませると距離はどんどん離れていく。

どの点を中心にしても、すべての点が他の点から離れていくように観測できる。


さらに宇宙を観測すると、遠くにある銀河ほど速く遠ざかっていることがわかる。

こうなると1では説明が難しい。

で、2が正解だろうと考えられるようになったわけだ。

 

このように、科学はより簡単に説明ができる理論を「正しい」と判断する。

科学は「真実か否か」を問うことはないし、問うことができない。

宇宙膨張の考え方
星A~Dはそれぞれ距離50の位置にあったが、宇宙が膨張して各100に伸びてしまった。 星Aから見るとBは50だけ遠くなったが、Cは100、Dは150も遠ざかったことになる。 遠くにある銀河ほど速く遠ざかっているように見える理由だ

宇宙が膨らんでいるなら、最初は1点だったのではないか?

ビッグバン仮説だ。

 

宇宙のすべてが狭い範囲にあったなら、そこはむちゃくちゃ熱かったはず。

だとしたら当時の熱(電磁波)はいまでも少しは残っているはずだ。

そしてその熱は宇宙のどこからも等しく降り注がなければならない。

ジョージ・ガモフという物理学者がそう予言した。

 

あるとき。

アメリカでペンジアスとウィルソンという2人の科学者が、アンテナから雑音を消す方法を一所懸命に考えていた。

次々と雑音を消していったふたりだったが、どうしても消せない雑音があることに気づく。

その雑音、つまり電磁波は宇宙のどの場所からも等しく降り注いでいた。

 

「それってガモフが予言したあれじゃね?」

この電磁波は宇宙背景放射と呼ばれている。

 

宇宙の遠ざかり具合とこの背景放射を細かく観測した結果、宇宙は約137億前に誕生したと考えられるようになった。

では宇宙の大きさは?

 

現在約130億光年彼方の銀河が発見されている。

当然その光は約130億年前にその銀河を出発したことになる。

そして地球から観測できるもっとも古い光は、宇宙がはじまった直後、137億年前の光ということになる。

 

ところが。

ビッグバンが起こった直後、宇宙は光の数十倍の速さで膨張したと考えられている。

そして現在も宇宙はすさまじいスピードで膨張していると言われる。

130億年前のその銀河は、130億光年先にあったわけではないし、いまは膨張によってもっとずっと遠くにあるということになる。

 

結論だけ。

理論上、地球に届くもっとも古い光は、137億年前に4,200万光年先にあった星の光で、その場所は宇宙が膨張した結果、現在は470億光年彼方にある。

本来なら4,200万年あれば地球に届くはずだが、宇宙が膨らんでいるおかげで137億年もかかってしまう。

そういうことらしい。

 

これが人間に観測可能な宇宙の大きさだ。

「観測可能とかじゃなくて、実際どれくらい大きいの?」

 

いろいろな説があってよくわからない。

800億光年とかそれより大きいとかいろいろ言われている。

 

ふぅ。

ハッブル宇宙望遠鏡
ハッブルの功績を記念して命名されたハッブル宇宙望遠鏡。地上600kmを飛行しており、夜空を動く姿を肉眼で確認できることもある

 

そして46億年前。

銀河系の片田舎を漂っていたガスが集まってひとつの大きな恒星と、その周囲を回る惑星を生み出した。

太陽系だ。

この年代は隕石に含まれるウランの半減期を利用して測定したもので、隕石が作られたのと同じ時代に地球も作られたはずだと考えられている。

 

できたての地球は溶岩に覆われていた。

岩石はドロドロに溶かされ、また冷えた岩もマグマの層に落ち込んだり、風雨で粉々に砕かれてしまうために、古い時代の岩石は地球上ではなかなか見つからない。

2010年に探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワのサンプル採取が確認されたとき、太陽系誕生、あるいは地球誕生の謎が明らかにされるだろう言われたが、それにはこんな理由があったのだ。

 

といっても、40億年を超える岩石の証拠も見つかってはいるのだけれど。


 * * *


今回は世界遺産はまったく登場しなかった。

次回からいろいろ出てくる予定です。

 


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『朝日新聞 世界の扉』記事執筆。『地球の歩き方 MOOK 世界のビーチBEST100』『ノジュール』に旅のスペシャリスト・達人として参加。『PEN』でアフリカの世界遺産執筆。『MONOQLO』世界遺産特集取材協力。『女性セブン』で日本の世界遺産を解説。エクスナレッジ『聖地建築巡礼 世界遺産から現代建築まで、73の聖地を巡る旅』、洋泉社ムック『負の世界遺産』執筆。RKBラジオ、FM TOKYOで世界遺産特集出演。その他企業・大学広報誌等。

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